
事業をしている上で様々な問題に遭遇します。
問題解決の手段を検討したくなるのは人情ですが、果たして問題に対して問題解決手法を考えることが妥当でしょうか。
最初にすべきことは問題の構造が解決可能なものかどうかの検証のはずです。
なぜなら、理論的に正しくないことは、実現不能だからです。
実現できないことを達成するためのやり方を検討する時間自体が無駄なことです。
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命題「論理的に正しくないことは実現できない」
論理的に正しくても、実現は難しいことはいくらでもあります。
しかし、そもそも論理的に破綻しているなら、実現自体が不可能です。
たとえば、100cm四方の金属板から10cm四方の正方形を100個切り出そうと考えたとします。
数字だけを見るとぴったり収まりそうですが、実際には刃の厚み分だけロスが発生します。
100個を10個×10個のグリッド状に配置する場合、9本の縦カットと9本の横カットが必要ですが、刃の厚み(カーフ幅)が1mm(0.1cm)だとすると、隣接する切片間には0.1cm×9回分のロスが出ます。
そのため、実際には100cm四方の金属板から10cm四方の正方形を100個切り出すことはできません。
「考えても無駄」は正しい
先ほどの例で言うと、どのように100個切り出すかをいくら考えても、そもそも材料が足りていない以上、答えは出ません。
どれだけ工夫しても、論理的に不可能なことは現実でも不可能です。
1枚の金属板から10cm四方の正方形を100個切り出したいのであれば、
- 刃の厚みによるロスの分だけ金属板を大きくする
- 1枚の金属板から100個切り出すという前提を変更する
というのが現実的な対応です。
論理的に正しくないことを実現できる方法を考えるのは、時間の無駄です。
実際の経営に当てはめて考える
少子高齢化していて、人材が不足しつつある中で、これまで通りの業務のあり方で会社を維持できるのか、今一度考えてみましょう。
定年後の再雇用制度を活用している企業も多いかもしれません。
ですが、再雇用した人もいつまでも同じように働けるわけではありませんし、何より新たな人材を確保できないことに対する根本的な解決にはなっていません。
そもそも労働人口そのものが減少している以上、現状の体制を5年後10年後も維持すること自体が理屈に合っていません。
そうなると、以下のような対応が考えられます。
- 企業規模を拡大していく(単位あたりの固定費を下げる)
- 従業員1人あたりの労働生産性を上げて最終的なアウトプットの維持を図る
- 外部リソースの積極的な活用
- コア事業にリソースを集中して、規模を縮小する
- ビジネスモデルの転換
企業の置かれている状況で、どれが妥当であるかは変わります。
しかし、一つだけ確実に言えるのは、理屈に合わない現状維持こそが、もっとも実現性に乏しい選択だということです。
最後に
それって理論的に収益が向上するのでしょうか、理論的に達成可能なのでしょうか、理論的に維持可能なのでしょうか。
もし、理論的に不可能だったら、実現も不可能です。
そのため、理論的に不可能なことをやろうというのではなく、どうすれば理論的に可能になるかという風に、見方や考え方を多面的にすることが重要です。
以上、参考になれば幸いです。