顧客がいない商品

商品・サービスを開発するにあたって、ニーズをつかむために市場の調査を行うことが理想です。
しかし、特に中小企業はコストやノウハウ不足といった理由で市場調査を行わずに商品・サービスの開発をするというのが一般的ではないでしょうか。

経営資源の関係上、仕方がない点は否定できません。
しかし、顧客を想定しないで「これならできる」という視点で商品・サービスを開発するというのは避けた方が良いでしょう。

プロダクトアウトとマーケットイン

商品・サービスの開発のアプローチには大きくプロダクトアウトとマーケットインがあります。
これらは対極的な考えで、それぞれ一長一短があります。

プロダクトアウト

プロダクトアウトは、市場のニーズよりも、自社が作りたいもの、作れるものといった企業側の都合をベースに商品・サービスを開発を行うことを指します。

ユニークな技術やノウハウに基づいたイノベーティブな商品・サービスはプロダウトアウトになります。
例えば、スマートフォンが世の出た時にはスマートフォンのニーズというものはありませんでしたが、ガラケーよりも利便性が高いために市場のシェアを獲得しました。

デメリットは、市場よりも自社の都合を優先しているため、市場とのミスマッチのリスクが高いことです。

マーケットイン

市場のニーズに応じた商品・サービスを開発することです。
必然的に市場に受け入れられやすい商品・サービスになる確度が高まります。

ただし、買い手の希望や想像力は既存の商品・サービスから大きく発展したものではありません。
したがって、既存の商品・サービスと比較して、さほど違いのないものになってしまう可能性があります。

顧客がいない商品

どのような商品・サービスは対価を支払う顧客がいなければ価値はありません。
プロダクトアウトで開発した場合であっても、顧客を想定したものが求められます。

商品・サービスをプロダクトアウトで開発した際にターゲットを想定していない場合、誰にどういった訴求をすれば良いのかということを適切に検討することができません。
したがって、「いかに技術的に優れているか」「環境に良い」といったように、顧客からすると興味を引かない、購買意欲をそそらないメッセージを力説することになってしまいます。
必然的に訴求内容も訴求手段も効果が得られず、当てずっぽうを繰り返すことになります。

最後に

理想を言えば、プロダクトアウトとマーケットインとを相互に補完的に取り入れて、市場にニーズを先取りした革新的な付加価値を提供するための商品・サービスを開発するということになるのでしょう。

大企業であっても効果的な開発につながる市場の調査が難しいのに、中小企業の場合はさらに難しい、あるいは不可能というのが現実です。
とはいっても、ターゲット顧客を明確にイメージするということは企業の規模に関係なく可能です。

「これならできそう」「これができる」の前に、誰に付加価値を提供したいのか、どういった付加価値を提供したいのかを明確にする必要があります。

以上、参考になれば幸いです。

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