目線を置く位置

自動車やバイクの免許をお持ちの方なら、教習所で「目線(視点)を遠くに」と指導された経験はないでしょうか。
運転をするにあたって、目線が近いと視野が狭くなってしまうため、前方で何かあった場合に対応が遅れてしまいます。

経営も同様のことが言えます。
確かに目先のことは大事で、決しておろそかにはできませんが、常に5年10年先のことも視野に入れておかないと、何かあった時に対応が難しくなります。

事業環境は常に変化するという経営の大前提

現在はVUCAの時代だと言われています。

VUCAをご存知ない方のために簡単に説明しますと、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字から作られた言葉で、先行きが不透明で予測が困難だという意味になります。

では過去は先行きが明確で5年後、10年度、あるいは30年後が明確に予測できたのだろうかという疑問が湧きますが、ともかく現状の事業環境が今後もずっと続くことはないというのは断言できる事実です。

さて、NTT DoCoMoによる調査では、2010年には所有率が4.4%だったスマートフォンは2022年を迎えた時点では94%まで増加しています。

電波の届く範囲であれば、誰でもインターネットにアクセスできる状況になったことで、社会のニーズや企業のサービスに大きな変化がありました。
技術やニーズの変化に対応することができれば大きな事業の機会を得ることができ、対応できなければ取り残されるということは、改めて言うまでもないはずです。

見出しの通り、企業経営の大前提として、事業環境は常に変化するということを留意する必要があるでしょう。

分かっている未来

先のことは正確に予測できません。
しかし、分かっていることもたくさんあります。

例えば、日本の人口は減少していることはどなたもご存じのはずです。
国立社会保障・人口問題研究所によると、30年後の2053年には人口が今より20%減の1億人になるとのことです。

人口の減少は市場の縮小を意味しますので、今の事業を今までの通りやっていては、少なくとも売上は下がってしまいます。

人口に減少という未来に対して、どのように対応すべきでしょうか。
インバウンド対応、海外進出、それとも売上の低下を見越して新規事業でしょうか。
あるいは事業内容自体を変えてしまうといったことも考えられます。

いずれにしても、事業が立ちいかなくなってから対応では遅いということはどなたも分かっているかと思われます。
今のうちに対応することで、いずれ来ると分かっている大きな変化に対応しやすくなります。

いつ反映させるか

アンテナは常に張っておく必要があるかもしれませんが、環境の変化に対応をしなくていけないタイミングはそれぞれです。

基本的には適宜対応することになりますが、すぐに対応しなくても良いことであれば、中期経営計画を策定する際に盛り込んでいかれてはいかがでしょうか。
環境分析を行う際に、今後10~数10年後の未来の見込みに対して、3~5年後の計画に盛り込んでいくという訳です。

ただし、SWOT分析、ファイブフォース分析を始めとした環境分析の際によく使用されるフレームワークは、基本的に時間の概念がありませんので、そのまま使用しても意味がありません。
大抵は現状を分析して、ビジョンを設定するかと思われますが、それでは現状が変わらないことが前提の計画になってしまうからです。

具体的にはPEST分析のようなマクロ環境分析を行い、今後どのように変わることが予想されるのか。
そして、マクロ環境の今後の変化が、ミクロ環境にどのような影響を与えることが考えられるのかを検討し、自社がありたい姿を設定します。

最後に

目線を上げて今後の動向を意識することで、様々な情報をキャッチしやすくなります。
その結果、収益の向上、経営の安全性の向上につながりますので、是非とも「今後どうなるか」の意識をもってみることをお勧めいたします。

ご参考になれば幸いです。