試合途中の監督交代

チームスポーツの試合において、選手が途中交代することはありますが、監督が途中交代することは、特殊な事情を除いてほとんどありません。

しかし、途中で監督業務を引き受けるとなったら、点数がリードしているときと、していないときとではその後の対応は異なるはずです。

点数の違いによる対応の違い

リードしている状態で監督業務を引き継いだら、そのリードを最後まで維持しようと思うのはごく自然なことです。
可能であればさらに追加点は狙いたいものの、リスクを負ってまで追加点を狙うかと言われると、必ずしもそうだとは限りません。

それに対して、同点、あるいはリードされている状況だったら、このままだと勝てないので、リスクを負ってでも、何としてでも点を取る必要があります。

経営もスポーツと同じ

事業承継をした経営者の方々は、言うならばリードした状態で監督業務を引き継いだような状況です。

顧客がいて、売上高がある程度確保されているとなると、これを失わないようにしなくてはいけないので、大きな冒険をするよりも、守りを重視しようと考えるでしょう。

それに対して、創業者は点数がリードしていない状態でのスタートだといえます。
そのため、なんとか売上高を上げていかなくてはいけません。

スポーツと企業経営の違い

スポーツの監督と企業の経営者とは異なる点もいくつかあります。

たとえば、スポーツの試合と企業の経営の時間・期間の長さは大きく異なります。

大抵のスポーツは、1試合の長さは数十分から数時間で終わります。
ルール上、最も試合時間が長いスポーツはクリケットですが、それでも試合期間は5日間です。

それに対して、企業の経営はそれよりもはるかに長い期間行わなくてはいけません。 長期にわたる中で、環境そのものが変化していきます。

スポーツも試合の途中で天候が変わることはあり得ますが、試合途中でルールは変わることはありません。
経営環境は、法改正やさまざまな環境変化によって、ルールすら変わることがあり得ます。

リードを維持すること自体は妥当である

リードを保つ(売上を維持する)という考え方自体は正しいと考えられます。
しかし、経営環境が大きく変わる中で、以前と同じことを引き続き行うと、今までのように売上の維持ができるとは限りません。

また、リードを維持するということ自体は妥当であっても、現状の売上高を維持するということが妥当かどうかも改めて考える必要があるでしょう。

なぜなら、コストは上がり続けているからです。 コストが上がる中で、売上高を維持するということは、利益の低下を意味します。

最後に

この文章を読んで、環境変化にネガティブな印象をもたれる方もいるかもしれません。
しかし、それは「現状を変えない」という前提に立ってはいないでしょうか。

経営とは環境の変化に対応することです。 環境の変化は捉え方で機会にもなり得ます。

リードしている試合であっても、相手(競合)の出方は大きく変わる、天気やルールすら変わると考えれば、さらにリードを盤石なものにできる可能性が高まります。

以上、参考になれば幸いです。

経営に関するご相談、お問い合わせなど、お気軽にご連絡ください。

CONTACT