万博の次に来る波

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が10月13日をもって終了しました。
会場だった夢洲の万博会場跡地の隣では2030年のIR(統合型リゾート)開業に向けての本格的な建設フェーズに入っていきます。

本来は万博を同時期に開業させる計画でしたが、2020年のCOVID-19の世界的な感染拡大により、行政も企業もパンデミックへの対応を最優先せざるを得ませんでした。

IR関係の審査・協議が停止した分、計画が後ろ倒しになった結果、IRの開業予定が2030年になったという流れです。

予定通りにIRも開業していたら

死んだ子の年を数える意味はないのですが、予定通りに万博と同時期にIRも開業していたら、日本経済──特に中小企業においても大きな影響があったことが予想されます。

日本の中小企業の多くは、優れた技術や製品を持ちながらも、極東の島国であるという地理的要因から海外に売り込む機会を作るのが難しいという壁に直面しています。

たとえば、世界最大規模の食品見本市であるANUGA(アヌーガ)がドイツのケルンで2年に1度開催されています。

ヨーロッパを中心に世界中から8,000社近くの出展があり、業界関係者を中心に約140,000人の来場者があるイベントです。

実際にJETROも中小企業支援の一環として出展をサポートしていますが、現地への移動や宿泊、輸送・通訳・展示ブース準備を含めると、数百万円規模の負担になります。
また、従業員を何人も派遣することになるのも、規模の小さな企業にとっては負担が大きいでしょう。

こうした国際的な展示会・見本市を大阪で開催できていたら、日本の中小企業にとって出展も容易になります。 そのため、外貨獲得による収益の機会を得られやすくなっていたはずです。

また、海外との取引においては、現在の円安も追い風になっていたでしょう。

水面下で進む都市の再編

2030年開業予定のIRは、まだ先の話に思えるかもしれません。
しかし、すでにIRを見越していると考えられる様々な動きが見られています。

たとえば、大阪メトロの中央線と阪神なんば線の乗換駅にもなっている九条近辺は現在再開発が進められており、ホテルや商業施設、さらにはアリーナ設置が構想されています。
京阪電鉄も中之島線を九条駅まで地下延伸することを検討しており、交通の要所として夢洲IRへの玄関口としての役割が期待されているといえるでしょう。

他にも堺旧港(ポルトマーレ)の再整備と船着き場設置は、大阪・関西万博(2025年)および将来的なIR開業を見据えたものだと考えられます。

ビジネス街である堺筋本町周辺もホテルの新設が相次いでいますが、夢洲駅を含む大阪メトロ中央線沿いという立地を生かして、IRと万博を背景にしたインバウンド観光客の増加を強く意識していることは明白です。

最後に

IRは総合型のリゾート施設であり、観光や娯楽のための大型拠点には違いありません。

しかし、外貨獲得と人の交流の機会を得る場所でもあり、日本の中小企業が世界とつながるハブでもあります。

上記のように、IRに向けた準備はすでに様々な分野で着々と進んでいます。

中小企業も他人事とは思わず、自社にとっての機会はないか、今から考えていく必要があるのではないでしょうか。

以上、参考になれば幸いです。

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