トップを上げるかボトムを上げるか

「売上高を伸ばす」というテーマを考えるとき、大きく分けて2つの方向性が考えられます。

一つは、普段から売上がある程度ある日の水準をさらに引き上げること。つまりトップをさらに引き上げるという考え方。

もう一つは、売上が少ない日を底上げすることです。こちらはボトムを引き上げるという考え方です。

どちらも直感的には同じように思われるかもしれませんが、実際の経営判断としては、これらは同じではありません。

この2つは「好みで選ぶ選択肢」ではなく、事業の構造によって向き・不向きがほぼ決まってしまうからです。

トップを上げる

トップを増やすメリットは利益率が向上しやすいことです。固定費は売上に関わらず一定であるため、売上が伸びるほど利益率が上がります。

一方で、供給側に余力がないと実現は困難です。

たとえば、飲食店では顧客が増えることで混雑が発生し、待ち時間の増加によって顧客満足度が低下する可能性があります。混雑状況によっては、来店したものの待ち時間が長いと立ち去ることもあり得ます。

また、需要の変動のばらつきが大きくなるため、その分のリスクを負う可能性は高まります。

固定費が低く、顧客や注文の需要量の変動に強い事業向きの選択肢と言えるでしょう。

ボトムを上げる

ボトムを上げるメリットは安定性の向上とリスクの低下です。

売上高や来客数のばらつきが減るということは、無駄な待機や余剰人員が減りますし、現場のオペレーションも安定します。その結果、計画も立てやすくなります。

ただし、売上高の数字として急激に伸びるわけではないため、成長の実感は得にくいかもしれません。

固定費の割合が高い、稼働のムラが大きい事業においては、ボトムを上げるインセンティブは大きいと考えられます。

どちらを選ぶかは事業構造で決まる

以上をまとめると、トップを伸ばす方が妥当か、ボトムを上げる方が妥当かは、事業の構造で決まります。

  1. 固定費
  2. 需要の変動幅
  3. キャパシティの余裕

固定費が低いとトップを上げるメリットは大きいと言えますが、固定費が高いとボトムを上げる方が安全性が高いです。

日や月によって需要の変動が激しいほど、ボトムを上げる価値は高いと言えます。ばらつきが大きいよりも、ばらつきが小さい方が予想が立てやすく、対応がしやすくなります。

人や設備、時間などのキャパシティの上限に達したら、それ以上に売上を伸ばすことはできません。

最後に

売上を伸ばすというと、どうしても手法に目が行きがちです。

しかし、企業のおかれた状況、事業の構造やリソース、競合の動向、もちろん顧客のニーズによって、目指すべき方向性は変わります。

今回は事業構造の影響を受ける、トップを上げるべきか、ボトムを上げるべきかについてまとめました。

以上、参考になれば幸いです。

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