
経営理念は社内の全員が一つの方向に向かうための指針になるものであり、迷ったときに立ち返るための指針です。
そのため、企業にとって非常に大事なものです。
大事であるがゆえに、会社それぞれの個性が反映されてこそ意味があります。
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ありがちな三点セットの理念
次のような三点セットの経営理念を、どこかで見たことはないでしょうか。
- 「お客様第一主義」
- 「社員とその家族の幸福を追求する」
- 「地域社会に貢献する」
言葉自体はどれも正しいものですが、正しいっぽい言葉を並べただけで、それぞれの会社のカラーが見えなくなっています。
理念を作るための合宿やワークショップなどを必ずしも否定しませんが、付箋や模造紙を使ってキーワードを出して、「顧客」「社員」「地域」で考えると、どこかで見たことのある三点セットの経営理念になりがちです。
3点セットは実現しない
経営理念を会社の目立つところに掲示している会社も多いでしょう。
しかし、三点セットの経営理念は、自分たちの中から出てきたものではないため、単なる飾りになりがちです。
顧客第一を掲げて、より高い付加価値を提供するために、日々何をしていますか?
社員とその家族の幸福のために、売上を上げて給料を増やすために何をしていますか?
地域社会に対する貢献とは具体的に何を指し、そのためにどんな取り組みをしていますか?
これらの問いに即答できなければ、理念は単なる奇麗な言葉を並べただけのものになっているかもしれません。
自分の言葉でなければ意味がない
経営理念が有名な企業として京セラが挙げられます。
経営理念の中に「物心両面」というワードがありますが、京セラのように「物心両面」を使った経営理念を掲げている企業もたくさんあります。
はたして、京セラの経営理念を見聞きした以前に、「物心両面」という単語を一度でも使ったことがあったでしょうか。
他社の理念から、耳障りの良い言葉を拝借するのではなく、自分たちの言葉でなければ社内のメンバーにも響きませんし、自分の中から出た言葉ではないので、行動にも現れません。
顧客第一と言いながら、昨年と同じことを今年もしていて、来年も変わらない。
社員とその家族の幸福のために、会社のステージを上げようと思っているわけでもない。
地域社会への貢献という定義づけもされていない。
先ほどの三点セットで言うなら、理念に沿った行動ができていないということです。
最後に
もし、作った理念が飾りになっていると感じたら、それは改善の機会です。
理念はコロコロ変えるものではないですが、作り直してはいけないものではありません。
いずれにせよ、経営理念は会社にとって最も重要な指針です。
そのため、型に当て込んで短時間で作るものではなく、自分たちの思いを自分たちの言葉で表す必要があります。
以上、参考になれば幸いです。