組織の雰囲気

チームスポーツにおいて、チームワークによって1+1が2ではなく3にも4にもなります。
逆に、チームワークが悪いと1+1が2未満になってしまうこともあり得ます。

実際に有能な選手を集めているにも関わらず、結果を出せないというのは珍しい話ではありません。
これはチームメンバーの総力は、単純に個々の能力の総和というのではなく、そこに何らかの要素によって乗数効果がもたらされているからだと考えられます。

乗数効果をもたらす要因は色々考えられますが、今回は組織内の雰囲気について考えてみたいと思います。

雰囲気とは何か

雰囲気を辞書で引いても、その場を満たしている気分、その場やそこにいる人たちが作り出している空気といったように、非常にあいまいです。
当然、目に見えないものではありますが、場所によって、構成するメンバーによって雰囲気が異なるというのは、どなたも首肯できるはずです。

チームの目的、目標が明確であれば、全員の意思が明確になります。
構成するメンバーが前向きなモチベーションであるということが良い雰囲気の条件といえるのでしょう。
逆に、前向きなモチベーションでないと雰囲気は望ましくないものとなるかもしれません。

スポーツチームでいうと、頑張れば優勝に手が届きそうな状況といったように、メンバーの大半が前向きな状態は良い雰囲気になりやすく、逆に負けが込んでいると雰囲気は悪くなると考えられます。
全員が試合の勝敗に関わっているにも関わらず、失点したことや負けたことを自分事ではなく、人のせいにするというのは、なかなか勝てない雰囲気の悪いチームにありそうな話です。

企業における雰囲気

経営理念やビジョンを掲げている企業も多いです。
目標を明示したら前向きなモチベーションになって、社内の雰囲気は良くなるのかと言われると、答えはNOです。
そんなことだけで、社内の雰囲気が良くなったら苦労しないと経営者様は思われるでしょう。

経営者様自身、従業員の方々といった会社を構成するメンバーの多くが目標に対して納得感があり、前向きに取り組もうと考えなければ雰囲気は変わらないでしょう。

目標や目的に対して納得感があるということは、それらに対して主体的、自律的に行動しようとするでしょう。
多くのメンバーが目標や目的に対して、主体的、自律的に行動した結果、目的を同じくする組織への帰属感が増します。
そこで小さなものであったとしても、何らかの成果が出ると自信につながり、よりモチベーションが向上し、組織の雰囲気が良くなるといったことが考えられます。

雰囲気づくりのために

前述した因果関係がどれだけ正確であるのかは分かりませんが、それぞれを逆にすると失敗することは間違いありません。

目標や目的に対して納得感があるか

「会社が儲かったところで自分たちの給料は上がらない」「今まで言われたことをやっていたら給料がもらえていたのに、なんで今更この年になって変わったことをしなくてはいけないのか」といったように、目標や目的に対して納得感がなければ、最初からつまずいてしまいます。

特に古参の従業員の方であれば、過去に成功した手法や過去の体験のイメージがあって、新しいことに取り組む意欲や納得感が薄いことも多々あります。
話し合えば解決するとは言いませんが、一方的に言うだけでは通じないのは間違いないでしょう。

目標や目的が明瞭か

目標が抽象的であることで、人によってとらえ方が異なってしまうと、全員が同じ方向を向くことはできません。

例えば「お客様にもっと満足していただき、繰り返し利用していただく」という目標を掲げたとします。
これ自体は良いとしても、もっと満足とは何をどの程度にすれば良いのか、繰り返し利用というのはどの程度の頻度なのか、といったことを具体的にして共有できないと、メンバーが独自の解釈で行動せざるを得ません。

障害の例

組織の雰囲気を変えていくにあたって、よくある障害の例をご紹介します。

一部のメンバーしか主体的、自律的に行動しない

行動する人にも2種類あります。

①組織のために能動的に貢献しようというタイプ、②○○さんがやるのであれば自分もやっても良いといった消極的なタイプです。
②を行動する人と捉えて良いのかどうか微妙ですが、全員が①ということはありませんし、②の方が数が多いというのが現実的な話だろうかと思われます。

さて、最初に行動するのは①のタイプです。
②のタイプは、誘われる、行動するべきという空気感になるといったような、なんらかのきっかけがあれば動き出す可能性があります。

今更と思わず、せっかくやる気になったのであれば、積極的に取り込んでいけば良いのではないかと思われます。
その結果、①のタイプになる人も出てくると考えられます。

従業員が前向きの行動しようとすることに対する阻害要因となる、マイナスの影響も取り除かなくてはいけません。
例えば、従業員の中でリーダー格の人が反対している、あるいは経営者自身が自分は関係がなく、従業員だけでやれば良いと思っているといったことです。

目標が高すぎる

目標が高すぎると達成できない、または達成に時間がかかってしまいます。
モチベーションが下がってしまうとせっかく良い雰囲気になりかけたのに、元に戻ってしまいます。

最終的な目標や目的は高いものだとしても、途中の小さな目標を設定することで、ある程度の達成感を得られるようになります。

成果に対して評価をしていない

目標は達成したとしても、評価されない場合はモチベーションは下がってしまいます。
これは、経営者様の視点からでは見落とされがちではないでしょうか。

最後に

スポーツチームの場合、勝っているから雰囲気が良いのか、雰囲気が良いチームだから勝てるのか、卵が先かニワトリが先かといった話ですが、企業においても成果を出していると雰囲気も良くなる、あるいは雰囲気が良いから成果も出せるといったように、同じことが言えるのではないでしょうか。
ただし、この場合の雰囲気とは単に仲が良いといったことではないことは言うまでもありません。

また、企業における成果とは売上や利益ですが、これらは単に業務に前向きになることに依存するものではありません。
適切な目標と、目標を達成できる適切な施策があってのことです。

いずれにしても、自動的に良い雰囲気になるということは難しそうです。
良い雰囲気づくりは能動的に行うものであると言えるでしょう。

以上、参考になれば幸いです。

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