合理化の3S

業務は合理的に行うべきであるということに異論はないでしょう。
では、どのように業務を合理化するべきなのでしょうか。
その目安として、生産の合理化における基本原則をご紹介いたします。

以下の3つの頭文字を取ったもので、3Sと呼ばれるものです。

  • 単純化(Simplification)
  • 標準化(Standardization)
  • 専門化(Specialization)

なお、「整理」「「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の5つを5Sと言います。
その中の「整理」「整頓」「清掃」を指して3Sというのですが、その3Sとは異なります。
そのため、上記の3Sと混同しないように、合理化の3S、改善の3Sと言われることが多いです。

単純化(Simplification)

複雑な作業よりも単純な作業の方が覚えやすく、ミスも起こりにくく、また作業スピードも早くなります。

買い手に対して付加価値を提供するにあたって、作業内容、作業手順といったものを単純化することで合理化につながります。

付加価値を高めるため、あるいは顧客からの要望があって、作業手順が複雑化するといったことは避けられないかもしれません。
そういった場合であっても、全工程を見直して再設計することで、可能な限り全体の単純化を図るのが良いと考えられます。

標準化(Standardization)

作業者によって業務のやり方や手順が異なると、アウトプットの品質のムラの原因になります。
また、メインの担当者以外の人間が作業をする場合、作業時間が余計にかかることになります。

また、標準化することでマニュアル化することができるようになります。
明文化されたマニュアルを作成せず、口頭での説明だけだと、結局あいまいなままといったことにもなりえます。

分からないことがあったら聞けと思うかもしれませんが、全体を把握できていない状態では、何をどこまで聞けば良いのかも分かりません。

また、質問する側、される側の状況や能力によって質問内容にも回答内容にも差が出てしまいます。
そうなると結局認識に差が出てしまう可能性があります。

誰がやっても手順が同じになるように標準化し、明文化されたマニュアルにすることをお勧めいたします。

専門化(Specialization)

取り扱う製品・品種を絞り込み、特定の事業内容に専門特化することで、必要となる作業の種類や工数が減ります。
専門化することで特定業務に対するスキルやノウハウを得やすくなり、その結果、競合に対する競争優位性にもつながります。

特定の製品をずっと生産し続けるのに対して、色々な製品を段取り替えをしながら生産するのとでは、前者の方が効率よく生産できます。

また、専門化というのは製造業だけではありません。
美容院や飲食店のようなサービス業も工程・作業の専門化によって効率化を図ることができるようになります。

最大限専門化を図るためには、業種を問わず、案件ごとに専門の担当者をあてがうのではなく、会社全体の全体最適化から考える必要があります。

3Sの手法の一例

では、具体的にどのように進めていけば良いのかの一例を紹介いたします。
企業やご担当の方ごとに業務や作業内容が異なりますので、ご自身の状況に当てはまらないことも考えられますので、ご了承ください。

①作業工程・作業者をピックアップする

まずは工程を挙げ、工程ごとに作業内容を書き出します。
担当者が複数存在する場合は、全員のものを挙げてください。

②マトリクスにする

比較・検討するために、①で挙げたものをマトリクスにします。
以下はその例です。

③各工程ごとにECRSを行う

付加価値の創出・向上につながらない作業は無駄な作業ですので、作業ごとにECRSを行います。
これによって、作業の効率化と標準化を図ります。

④各工程ごとにリスク(危険性)と対策を考える

マニュアル化するにあたっての注意事項として、起こり得るリスクおよび危険性を検討します。
ここでいうリスクや危険性とは、製品の品質を下げるもの、作業者によって身体の危険性が及びかねないこと、ミスといった、通常の業務、作業を行ってい行くうえであってはならないことの全てが該当します。
そして、リスクや危険性に対しての対策と注意点を検討します。

⑤マニュアル化する

以上をマニュアル化します。
マニュアル化した際にはバージョンの管理と、作成した日付を明記してください。
以降、改定をする度にどこが変わったのか、いつ変わったのかの履歴を最初に示した上で、マニュアル本体を最新の状態にしておきます。

最後に

昨今は生産性の効率化のためのIT導入が進んでいます。
ITを始めとしたツールによる業務の効率化は必要かつ重要ですが、それ以前に業務内容そのものを見直さないと、ツールを導入しても効果は限定的となってしまいます。

まずは社内の業務の整理をしたうえで、3Sを実践したうえで必要なツール類をご検討されることをお勧めいたします。

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