ECRS

国が推進しているDXの目的の一つに労働生産性の向上があります。
しかし、単に現状の作業をデジタル化によって自動化するだけでは、効果が薄いでしょう。
DXの前に現状の業務を見直し、無駄を省く必要があります。

一般的に製造業における生産のプロセス改善において使用される考え方として、ECRSというものがあります。
ECRSとは業務改善の際に行うべき4つの行動で、それぞれの頭文字を重要度の高いものから並べていて、ECRSの順番で可能かどうかを検討します。

  • E:排除(Eliminate)
  • C:結合(Combine)
  • R:交換(Rearrange)
  • S:簡素化(Simplify)

ECRSは製造業以外でも、業務改善に効果があることが見込まれます。

排除(Eliminate)

プロセスそのものをなくしてしまえば、その分の作業工数が削減されますので、ECRSの中で最も効果が大きいといえます。
したがって、まず最初になくせないかということを検討します。

主に付加価値の提供、向上につながらない作業や活動が排除の対象です。

打ち合わせのためにクライアントを何度も訪問するといったこと、過去のデータを探す時間といったようなことはないでしょうか。
前者であれば各種コミュニケーションツールを活用することで移動時間をなくす、後者はデータの整理整頓を行うといったことで、排除することができます。

結合(Combine)

複数の工程、業務を同時にできないかを検討します。
類似の作業や、共通の作業であればまとめてやった方が早く完了します。

不良品がないかの検品作業は非常に重要ですが、不良品ではないこと自体は付加価値の向上につながっていません。
工程Aをα社、次工程の工程Bをβ社に発注している場合、それぞれの工程で検品作業や確認作業を行っています。
工程Aの歩留まり率が100%に近いのであれば、2つの工程を同じ企業に発注することで、正確性を担保しながらコストの削減と時間の短縮が果たせるはずです。

交換(Rearrange)

作業の順序、作業担当者、作業の時間などを入れ替えることで効率化できないかを検討します。
排除、結合と比べると作業時間が短縮されるイメージが湧きづらいと思われますので例を挙げて説明します。

ステーキ用の肉が3枚あり、片面を焼くのに30秒かかるとします。ステーキ用の肉を同時に2枚焼けるフライパンがあります。このフライパンを使って可能な限り効率的に3枚の肉を焼くとします。

肉Aと肉Bをフライパンで片面を焼き、ひっくり返してもう片面を焼くと、この時点で60秒経過しています。それらを取り出し肉Cを同じように両面を焼くと60秒かかるために3枚の肉を焼くのに120秒かかっています。

最初に肉Aと肉Bの片面を焼き、次に肉Aのもう片面と肉Cを焼き、最後に肉Bと肉Cの残った面を焼くと、90秒で全ての肉を焼くことができます。

このように作業全体を再設計し直すことで、全体の作業が改善される可能性があります。

簡素化(Simplify)

文字通り、作業をもっと簡素にできないかという点を検討します。

複雑で時間がかかるものを簡素化することで、より早く、より正確に行えるようになります。

最後に

従業員一人当たりの収益性を向上するためには、業務の効率化は避けられません。
労働集約産業型においては作業に必要な時間がそのまま費用となるため、作業効率を改善することは利益の向上につながりますし、対応できる案件の数の増加にもつながります。

DXに取り組むかどうかは別にしても業務の改善は必要なはずですので、これを機会に業務のECRSを図ってみませんか。