中小企業がターゲットとすべき市場

事業をやっていて課題がなくなることはありません。
経営者の方々は、毎日様々なことに頭を悩ませておられることかと思います。
中でも、どうやって売上を上げていくかというのは多くの経営者様が悩んでおられるのではないでしょうか。

誰に対して、何を、いくらで、どのように提供していくかで売上高が変わりますが、今回は「誰」つまり、どのような市場をねらうべきなのかについて考えてみたいと思います。

魅力ある市場は競争が激しい市場

顧客が百万人の市場と一千万人の市場とでは、規模が10倍異なります。
顧客が多い後者の方が市場から得られる売上の最大値が大きいことは言うまでもありません。
では、たくさんの集客が見込める大きな市場が中小企業にとって理想の市場なのでしょうか?

市場に参入している(参入しようとしている)企業が1社だけなら問題はないのですが、貴社にとって魅力がある市場は他社にとっても魅力がある市場である可能性があります。
つまり、市場の規模が大きい、あるいは成長可能性が高いといった企業にとって魅力がある市場ほど、参入企業が多くなり、その結果として競争が激しい市場になります。

大企業と同じ市場で競争する問題点

競争に勝ち残るためには、競合に先んじて新たな商品・サービスを開発したり、広告宣伝に費用を掛けたりと、相応のリソースが必要になります。
リソースに乏しい中小企業は、より豊富なリソースをもっている大企業と同じ土俵では、開発力や広告宣伝力で劣後にならざるを得ません。

工業製品をイメージしてみてください。
大企業はスケールメリットを生かして同じものを大量に生産することで製造コストを下げます。

製造コストを下げることで広告宣伝費を捻出することが可能です。
その結果、安く大量に製造したものを大量に販売することで収益を上げます。

しかし、中小企業は大量生産もできませんし、豊富な広告宣伝費もありません。大企業と同じことはできませんから、大企業と同じ市場で戦うことはできません。

したがって、大企業と同じ市場をねらうというのは、不適切だといえそうです。

中小企業同士の競争の激しい市場の問題点

中小企業が相手なら競争しても良いかといわれると、それも決して正解とは言えません。

市場に競合と2社のみ存在していることをイメージしてください。
競合が貴社と同等の製品の価格を下げた場合どういう経営判断を行いますか?

顧客を取られないように同程度まで価格を下げますか?
それとも、顧客を奪うためにより価格を下げますか?

その結果、収益がどんどん下がっていくのは目に見えています。

価格競争ではなく、広告宣伝の競争になっても、費用が増えるために同じように収益性が低下してします。
競合が1社でもこうなってしまうことが予想されますので、競合が多ければ多いほど収益が低下する危険性が高まるということです。

そのような市場は、はたして参入する価値のある市場と言えるでしょうか?

中小企業にとって理想の市場

中小企業にとって、どのような市場が理想なのでしょうか?
それはニッチ(隙間)市場です。

大企業は多くの人に向けた商品・サービスを提供する以上、個々の買い手からすると満足度がそれなりになってしまいがちです。
それに対して中小企業は、市場の中でも特定の人たちにターゲットを絞り、より高い満足度を提供することで、大企業との競争を回避します。

言い換えると、大企業が多くの買い手に対して60点、70点の価値を提供するのであれば、中小企業は特定の買い手に対して80点、90点の価値を提供するということです。

現在売上高が数億円の企業にとって、何千億円、何兆円もの市場規模は不要なはずです。競争の激しい何千万円、何兆円の市場よりも、競合のいない数十億円の市場の方が、より確実に高収益が期待できます。

なお、市場シェアを獲得して手狭になってきたら、新たなニッチ市場に進出します。
それによって、既存の市場が縮小しても売上低下の影響が小さくなる、つまり、経営の安全性を高めながら成長が期待できるようになります。

最後に

どうしても大きな市場、成長しそうな市場は魅力的に映ります。
しかし、競合との競争が激しいのであれば、収益は低くなってしまいます。
ましてや、大企業が市場に参入していればなおさらです。
一見魅力的に見えているだけで、魅力ある市場とは言えません。

中小企業は、収益性の低い市場で頑張るのではなく、自社に合った高収益が期待できる市場で頑張りましょう。