成功者の真似は正しいのか

ビジネスにおいてTTP(徹底的にパクる)というのは、効果的な方法としてよく言われることです。

しかし、後発や規模が小さいといった、不利な条件にある企業が、成功している企業を徹底的に模倣したら、同じように成功できるのでしょうか。

そのまま模倣しても意味がない理由

TTPの対象が目に見える手段や戦術だった場合、2つの大きなリスクを抱えることになります。

優位な相手と同じ土俵で戦うことになる

成功している企業と比べて、知名度や信頼度、経営資源といった点で劣っているわけですから、同じやり方をしても、相手の優位さは変わりません。

たとえば、実際に実績が豊富な企業が、実績を訴求して受注しているとします。
それをそのまま模倣しようとしても訴求できる実績はありませんし、無理やり実績を訴求しても買い手には実績があるようには伝わりません。

理念や戦略との不整合

企業としての理念があり、戦略があり、戦略を実行するための具体的な手段(戦術)があります。
手段だけを模倣したとしても、理念とも戦略とも合わない可能性があります。

そうなってしまうと、目指すべき方向とやっていることに一貫性がなくなり、一生懸命手段を実行しても目的には到達しないことになります。

たとえば、静かで本格的なコーヒーを楽しむというコンセプトのカフェと、子連れの主婦が利用するカフェとでは、顧客が店に求めるものが異なります。前者がファミリー層向けのキッズスペースを取り入れたら、本格的なコーヒーとゆったりと楽しみたいという既存顧客が離れてしまいますし、元々のコンセプトと合致しないためにファミリー層も定着しないといったことにもなりかねません。

唯一の例外

他者の模倣が戦略的に妥当な企業もあります。
それはトップシェアの企業です。

競合のユニークなアイデアを模倣することで、競合の差別化要因を無力化し同質化することで、自身に有利な資本力の勝負に持ち込んでねじ伏せることができます。

あくまでもトップシェアの企業が行う手段であり、シェアや資本に劣る企業が競合の模倣をしても、他に優位な点がなければ競合に太刀打ちしようがないということです。

正しいアプローチ

なぜ競合は成功しているのか、そのロジックを解明し、そこから得た知見を基に、自社用にアレンジしてTTPだというのであれば、効果も期待できるでしょう。

ですが、「YouTubeチャンネルを開設してみた」「AIを導入してみた」「5Sに力を入れている」といったような、表面的なやり方をTTPしても意味はありません。

競合の表面的な行動は目に見えやすいですが、TTPの対象は目に見える具体的な行動そのものではありません。
その裏にある「なぜ成果を得られているか」という論理です。

企業によって置かれた状況や、諸条件が違うのに、行動だけを変えても同じ成果は期待できません。

最後に

前述したように、行動は見えやすいですし、模倣するのも容易なのかもしれません。

しかし、容易に模倣できることは優位性にはなりません。
模倣できるのは自分だけではないからです。

また、模倣したことだって競合に一日の長がある訳で、たんなる劣化コピーになってしまっていたら、うまく模倣もできていないことになります。

あくまでも表面的な行動ではなく、なぜ成果が出ているのかという論理を分析し、取り入れることが成果を得るために必要なTTPです。

以上、参考になれば幸いです。

執筆者:
待谷 忠孝(中小企業診断士)

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