
特定の従業員が退職したら困ると考えている中小企業の経営者様は多いでしょう。
従業員が10,000人いる企業にとって、一人の従業員の会社への影響は0.01%ですが、従業員10人の企業にとって、一人の従業員の会社への影響は10%です。
では、マニュアル化するといった方法で、作業の属人化を解消しようと考えている経営者様は全体の内の少数派だというのはどなたも首肯するのではないでしょうか。
理由は明確で、日々の業務が回っている限り、とりあえず今は問題がないと考えているからです。
つまり、「業務が回っている」「回っていない」という0か1で考えていて、個人の能力を会社の仕組みに落とし込むという視点自体が薄いということです。
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会社とは仕組である
サッカーや野球、バレーボールのようなチームスポーツをイメージしてください。
選手それぞれが好き勝手に動くのではなく、それぞれ役割分担された選手が一定の規律の下、組織的に行動しています。
会社も全く同じ「特定の目的を持った人の集まり」です。
会社を効率的に動かすには役割の分担、ルール、判断基準といったハードの整備が必要です。
5人でプレイするバスケットボールだって、全体最適を目的とした一定の規律の下にプレイしているのに、それ以上の従業員を抱える中小企業が、ちゃんとした仕組みに基づかず、今までの慣習にしたがって業務をしているだけでは、効率が悪い状態を脱することはできません。
仕組みとは
ここでいう「仕組み」とは、「誰が」「何を」「どういう基準で」判断・行動するかが、特定の個人に依存せず、他の人にも共有・再現可能な形になっているものです。
もう少し具体的に表現すると以下のようになります。
- 役割・権限の分担:責任者が誰か、どこまで判断を任せるか
- 業務の手順(フロー):どういう順番、方法でその仕事を進めるか
- 判断基準(ルール):何を基準に「良い・悪い」「進める・止める」を判断するか
これらが不明瞭だと、担当者が変わると業務が進まなかったり、品質が落ちたりと、業務に支障が出ます。
つまり、業務が個人に依存した状態であり、会社としての仕組みになっていないということです。
成長のためには仕組化が必要
成長の定義を、「売上の向上」「組織の拡大」のいずれとしても、仕組化は必要です。
社長の判断を仰がないといけない、作業が属人化している、効率的な業務が確立されていない、といった状況では、業務効率も上がらず頭打ちになります。
売上高も上げられない、効率も悪いという状況で、現在のように費用が高騰すると、費用高騰を吸収する余地がなく、利益が下がるといったことになります。
逆に、大企業は仕組化ができているから成長できたといえます。
大きくなったから仕組化をしたのではなく、成長するための前提条件です。
なぜ仕組化されていないのか
仕組化するためにどうすれば良いのかが分からないなら、公的機関で無料で相談できますし、専門家に対価を支払って依頼すれば済む話です。
そのため、いざ実行というフェーズが障害になることはあまり考えられません。
では、なぜ中小企業が仕組化されていないかというと、中小企業は現状を変えようという認識が弱いからです。
前述したように、日々の業務が回っている限り、とりあえず今は問題がないと考えていると何かを変えようとは思いません。
また、将来のビジョンを思い描いていない場合も、現状を変えようという動機は弱いでしょう。
必然的に、仕組化以前に現状を改善するという認識を持ちづらいです。
AIは解決策にならない
本来やるべきは仕組化(ハードの整備)です。
AIという最新の技術を導入することで、改善したような感覚を得られるかもしれません。
しかし、ハードはそのままでAIというソフトだけ変えても、本質的な問題は解決しません。
たとえるなら、時速100km/hしか出ない車(ハード)に素人が乗ろうが、プロのドライバー(ソフト)が乗ろうが、最大速度は100km/hのままで、車の性能自体が上がるわけではありません。
ハード自体が整備されるから、ソフトの効果も発揮できるようになります。
まず、やらないといけないのは仕組化です。
まとめ
仕組化は外から見えるものでもないので、AI導入のような分かりやすい施策の方に目が行きがちかもしれません。
しかし、全体が最適化されていないのに、一部だけ何かを変えたところであまり意味はありません。
まずは会社としての仕組み、つまりハードを整備するというのが最初に取り組むべきことです。
以上、参考になれば幸いです。



