話が長いのに伝わらない理由

一生懸命説明しているのに伝わらないということは、どなたも経験があるはずです。

説明自体が上手いかどうか、相手のリテラシーなど、様々な要因がありますが、自分の伝えたいことが主になっていて(自分視点)、「相手にわかってもらうという認識(相手視点)」が欠如しているというのも大きな理由の一つとして挙げられます。

伝わらない説明の特徴

思いつくままに話している

一回分の説明の長さは、聞き手には分かりません。

結論から話さずに、自分が話しやすいように記憶をたどりながら時系列で話されると、聞き手はいつ終わるのかも結論もわからない話を聞き続けることになります。

また、考えながら話すと、一文が長くなる可能性があります。
それによって、聞き手が主語や述語を見失ってしまう可能性があります。

重要なこと、重要でないことも判断できないため、聞き手は聞きながら頭の中で整理をすることができません。
必然的に、聞き手は適切に質問することもできないため、必要な情報のギャップを埋めることができません。

その結果、話し手の言いたいことが適切に伝わりません。

自分用語を使う

同じ単語でも受け取り方次第で意味は変わります。
ましてや自分独自の使い方をしているなら、高い確率で相手は誤解します。

たとえば、「大阪城(大坂城)を作ったのは誰?」という質問に対して、「豊臣(羽柴)秀吉」と答えるのが一般的でしょう。
石山本願寺跡に築城することを決めた人物だからです。

また、実際に築城作業をしたのは大工や左官といった人たちですので、「大工さん」と答える人もいるかもしれません。

これは「作った」の定義をどう捉えるかという例ですが、同様に「検討する」「確認する」「対応する」といった多義的な言葉を、自分独自の狭い意味で使っていないでしょうか。
特に、特定の業界や自社だけにしか通じない意味で使用されている言葉ということもありえます。

前提が共有されていない

前提や背景が共有されていない相手に対して、本題の話をしても伝わりません。

日常的な取引をしている相手であれば、共通の認識のもとに会話ができるかもしれません。
しかし、広告代理店やシステム会社のように、日常的な付き合いがない相手に対しても、自分たちの暗黙の了解を前提とした接し方をしても、当然同じように伝えることは不可能です。

改善案

コミュニケーションとは、あくまでも相手との認識の一致です。
自分が伝えたいことを一方的に伝えるのはコミュニケーションではありません。

これだけは押さえておきたい改善案をいくつか提示します。

PREP法の徹底

PREP法とは口頭、文章に限らず、分かりやすい説明の流れとされているものです。
以下の流れで説明を行います。

  • Point(結論):最初に結論を伝える
  • Reason(理由):結論に至った理由や根拠を説明する
  • Example(例): 理由を裏付ける事例、データ類などを示す
  • Point(結論):再度、結論を伝える

最初に結論を伝え、次いで結論にいたる理由や例を説明するため、聞き手はゴールが分かったうえで聞くことができます。

定義合わせ

重要なキーワードや、広義な単語は定義を合わせておくことが重要です。

また、定期的に認識に齟齬がないかを確認することで、話がうまく伝わらなかったり、誤解が生じたりすることを防ぎます。

相手の前提を確認する

説明を始める前に、「ここまではご存じですか」「前提として○○という認識で合っていますか」と確認するだけでも、その後の説明は大きく変わります。

聞き手が分かっていれば説明は不要ですし、分かっていなければ必要な説明をすれば、聞き手との認識合わせはしやすいでしょう。

まとめ

相手に必要なことを伝えれば良いと思っていると、相手が咀嚼し納得するプロセスを無視した一方通行の情報伝達になります。

「自分が何を言ったか」ではなく「相手の頭の中にどんな絵が描かれたか」をイメージしながら構成、話し方、使用する単語を選択する必要があります。

特に、文章は読み手が必要に応じて戻って読み直すことができますが、口頭での説明となるとそうはいきません。
口頭での説明は、文章以上に簡潔でわかりやすくする必要があります。

以上、参考になれば幸いです。

執筆者:
待谷 忠孝(中小企業診断士)

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