
2026年度の小規模企業白書は、小規模事業者の経営リテラシー向上をテーマに掲げています。
小規模事業者に求められる、4つの経営リテラシーを以下に定義して、「経営力」の土台となる、経営者が持つべき基本的知識であるとしています。
- 財務・会計リテラシー:原価管理、資金繰り計画の策定
- 組織・人材リテラシー:従業員の労務管理、組織活性化
- 運営管理リテラシー:品質管理、ノウハウの蓄積・共有
- 経営戦略リテラシー:経営計画の策定、マーケティング
一方で、中小企業白書では、中規模企業の経営リテラシーについては特に触れられていません。
経営リテラシーを身につけないといけないのは小規模事業者だけではなく、中規模企業の経営者様も同じです。
中規模企業の経営者様であっても、経営戦略について学んだことがない、決算書も読めないといったことも珍しくはありません。
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なぜ経営リテラシーが必要なのか
答えは簡単です。
経営をするのには経営の知識が必要だからです。
ラーメンを作れないのにラーメン屋さんをやろうという人はいるでしょうか。
でも、起業する前に経営の勉強をする人はほとんどいませんし、起業後も改めて勉強する人もほとんどいません。
これは承継者も同じで、承継することが分かっているから経営のことを学んでおこうという人も、承継後に学ぶ人も、学ばない人と比べたら圧倒的に少ないです。
確かに、規模が小さい内はオペレーションの改善をすることで多少は業績が上向くかもしれません。
しかし、売上規模や企業規模が大きくなるにつれて、業務の知識やスキルだけでは上手くいかなくなります。
感覚ではなく、根拠に基づく再現性のある経営が求められます。
経営リテラシーが低い場合
経営リテラシーは経営判断の質に影響します。
適切な判断をしようと思ったら、可能な限り現状を把握する必要があります。
では、自分の会社を取り巻く外部環境や内部環境をどのように捉えれば良いのでしょうか。
どの商品がどれだけコストがかかっているのでしょうか。
どの商品の売上を伸ばすと利益が最大化するでしょうか。
経営リテラシーが高いと、状況を整理しやすくなるため、根拠に基づいて適切な対応をしやすくなります。
あるいは自分でしなくても、誰に頼めばよいのか分かります。
逆に経営リテラシーが低いと、経験と勘に基づいた判断になり、場合によっては打ち手も当てずっぽうになります。
上手くいってもなぜ上手くいったのか分かりませんので再現性は低いですし、上手くいかなかったらなぜ上手くいかなかったのかも分かりませんので改善も難しいです。
どこまで身につける必要があるか
これは非常に難しいです。
もちろん、高いレベルで身につけるに越したことはありません。
ですが、レベルに応じた時間と労力を要します。
経営者という立場に求められる役割は、経営判断をすることです。
そのため、専門家になる必要はありません。
専門家に話ができるレベルになれば良いのではないでしょうか。
たとえば、管理会計の専門家レベルの知識までは不要ですが、依頼した専門家が言っている内容が理解でき、必要に応じて質問ができたうえで、経営判断ができれば良いというレベルです。
どうやって身につけるか
経営リテラシーで定義されていることは全て中小企業診断士の一次試験の範囲です(中小企業診断士の一次試験の範囲はさらに広いですが)。
中小企業診断士試験を受験するのが理想ではありますし、実際に経営を学ぶために挑戦する経営者の方々や承継者の方々は少なくありません。
しかし、実際に受験をするとなると、ハードルが高いのも事実です。
受験予備校が出している市販の教科書を活用するという方法があると考えられます。
- 企業経営理論
- 財務・会計
- 運営管理
これらの3科目で経営リテラシーの4項目が全てカバーできます。
ただ、さすがに教科書を一通り読むといった程度では身につきません。
特に財務・会計は試験に合格するレベル(実務ができるわけではないレベル)であっても、200時間以上勉強することもざらです。
身につくまでどうするか
経営リテラシーが身につくまではどうもできないのかというと、そんなことはありません。
外部の専門家を活用しましょう。
中小企業診断士や社外CFO(Chief Financial Officer)、社外CDO(Chief Data Officer)といった人を活用すれば、経営リテラシーが身につくまでの間もカバーできます。
また、こういった外部の専門家と一緒に仕事をすることで、自身の勉強もはかどります。
あくまでも、判断はご自身でする必要がありますが、判断のための情報の整理をしてもらうイメージです。
経営リテラシーがある程度身についた後は、自分でできることは自分で行い、自分のできないことは引き続き依頼すればより効率が高くなるでしょう。
最後に
経営リテラシーを身につけることで、様々な経営判断の精度が上がります。
また、意思決定も早くなりますし、社内外への説明も論理的になります。
経験や勘で行っていた判断から、根拠に基づく判断ができるようになるだけではなく、人に伝えやすくなることで実効性も高まります。
その結果、環境変化への対応力が向上し、企業として前進するスピードが上がることが期待できます。
以上、参考になれば幸いです。



