相談は課題が固まる前に行う

経営を行う上で、他者を活用するのは合理的な判断です。特に中小企業の場合は、経営者も現場の業務をせざるを得ず、経営に集中できないということは一般的です。

そのため、何でも自社でやろうとすると一向に経営課題が達成できないといったことに陥りかねません。

しかし、まず課題を整理してから外部のリソースを活用するというのはお勧めできません。なぜなら、その整理自体が主観に引っ張られて、課題設定を誤る可能性が高いからです。

自社の課題整理が難しい理由

自分の会社のことは自分が良く知っている。それなのに、なぜ自社の課題の整理ができないのかと思われるかもしれません。

その理由は大きく3つあります。

当事者であること

自分の会社であればこそ、会社や商品を内側から見ています。当事者である以上、主観でしか見ることができず、外部の第三者のような視点では見ることができません。

過去からの経緯、思い入れなどが入るため、同じ事象であっても客観的な第三者とは違う捉え方になりがちです。

現状維持バイアス

人間は現状維持バイアスがあります。本当は根本から考え直さないといけないとしても、現状の延長線で説明できる原因を選びやすい性質をもっています。

そのため、真の原因よりも、原因に仕立てやすいものを原因と見なしがちです。

今までやってきたことは今後も維持するものであり、変えるべきことではないというのが常識になっているケースはどの企業にもあるはずです。

負荷

課題整理は、目の前の事象とその要因を切り分け、因果を掘り下げる作業です。これは時間も思考力も必要で、日々の業務に追われる経営者には負荷が大きいです。

そのため、要因を掘りさげるよりも、表面に現れている事象への対応に流れがちです。

相談は課題を明確にする前に行う

ここまで述べたように、経営者が自社の課題を一人で整理しようとすると、当事者性、現状維持バイアス、そして日々の業務負荷によって、課題設定そのものを誤りやすくなります。

そのため、自分で課題を明確にしてから相談するのではなく、何が課題なのか曖昧な段階で相談する方が合理的です。

ここで重要なのは、相談の目的は正解をもらうことではなく、課題設定を明確にすることです。そのために、相談相手には経営者の頭の中にあることを整理し、言語化し、論点を明確にする役割があります。

最後に

自分の会社のことは自分がよく分かっているというのは全く正しいです。しかし、自分の姿を自分で直接見ることができないように、自分の会社であるからこそ見えないことも多々あります。

重要なのは課題の達成であり、その前に適切な課題設定が必要です。適切に課題を設定するためにも、第三者による客観的な視点の活用が重要になります。

以上、参考になれば幸いです。

執筆者:
待谷 忠孝(中小企業診断士)

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