やり方の前に能力を磨く

受験や資格試験の試験を受けるに際して、大なり小なり勉強をすることになります。 勉強の目的は試験に合格するための知識を得ることと、能力を身につけることです。

勉強しないで試験に受かる方法はないか、と考えている人がいたら「何をふざけたことを言っているのか。勉強しろよ。」と思われるのではないでしょうか。

しかし、事業に関しては、多くの方がその「ふざけたこと」を考えています。

他社の成功は真似できると考えている

セミナーや経営者の会などに、参考になる手段を得られると期待して参加をしていませんか。心情的には理解できますが、他社が上手くいったやり方だけ真似をしても意味がありません。

試験で例えると、合格水準以上の実力があって、その実力を本番で発揮することができたから合格できます。実力を発揮するための手法を、実力が不足している人がやったところで試験には合格しません。

企業の場合だと、成功した企業に対して能力や条件が異なっていたら、形だけ真似をしたところで同じ成果は得られません。

しかし、やり方だけを求めるという行動が、やり方さえ取り入れれば成功も真似ができるという前提に立っていることを示しています。

能力は磨くことができる

短距離走のトップ選手は100メートルを10秒以内で走ることができます。

なぜそんなことができるのかというと、100メートルを10秒以内で走ることができる身体能力と、相応の技術を持っているからです。

当然ですが、生まれたときからそんな身体能力や技術は持っていない訳ですから、才能だけではありません。継続的な努力によって能力を磨きつづけた結果です。

では、経営者層や従業員といった職位を問わず、普段から能動的に能力を磨いている企業はどれだけあるでしょうか。

磨くべき能力とは

技術職であれば、普段から業務のための技術の向上は意識されている方も多いのではないでしょうか。

一方で、管理職や経営者層が自らの判断や意思決定の質を高めるために、マネジメントに必要な能力を磨いている例は、決して多くはないでしょう。

また、考える力やコミュニケーション能力は、職位を問わず必要な能力ですが、意識的に向上を図っている企業がどれだけあるでしょうか。同様に、意識的に能力向上に取り組んでいる人はどれだけいるでしょうか。

なぜ能力を能動的に磨こうとしないのか

多くの人が能力を能動的に磨こうとしない理由について、ここでは一つの仮説を提示します。

それは、子供の時から社会人になった後も、現状の能力に見合ったタスクが与えられ続けてきたから、というものです。

小学1年生であれば、文科省の定めた小学1年生の勉強をします。2年生になれば、2年生のカリキュラムに則った勉強をします。中学生になれば中学生の勉強というように、学年が上がったり、進学したりすると、それに見合った学習内容や難易度になります。

社会人になっても同様で、キャリアに見合ったタスクが与えられます。

やり方を教わり、ある程度慣れてくるとできるようになることを繰り返してきたら、能動的に高い能力を身につけようという動機は弱いままなのではないでしょうか。

能力向上を個人の努力に任せてはいけない

VUCAの時代ともいわれる、先の予想がつきづらい時代において、既存の能力だけでは生き残っていくのは難しくなっていきます。そのため、職位を問わず継続的な能力向上が求められます。

しかし、今の仕事を無難にこなせているうちは、さらに能力を磨こうという動機は生まれづらいでしょう。

能動的に能力を磨く組織にするためには、企業が今後どうありたいかというビジョンを明確にし、能力の向上が必要なことを社内で共有することが必要です。さもなければ、誰もどんな能力をどこまで伸ばせばよいのか基準がないからです。そうなると、能力の向上を図ることすら人任せになってしまいます。

そして、普段の業務で磨くことができない能力があることを、ちゃんと認識することです。

特に、多面的な見方や思考力は、日常的な業務では磨きづらいものです。なぜなら慣れることによって多面的な見方や考えることをしないですむようになるからです。

最後に

成果を得ている企業は、秘密のやり方を知っているから成果を得ているのではありません。相応の能力を備えているから成果を得られるのです。

剛速球投手のフォームを真似したところで、筋力をはじめとした身体能力が違うのですから同じスピードでボールを投げることはできません。

つまり、一定水準以上の能力を備えて、はじめてやり方が意味を持ちます。

環境の変化に対応できる企業が生き残る企業です。対応するにはそれだけの能力が必要です。だから、早速職位を問わず能力向上を図ることをお勧めいたします。

以上、参考になれば幸いです。

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