短期合理性の罠

現在の事業の内容、業務の進め方や姿は、過去から効率化を繰り返した結果です。ある程度効率的な形が固まったため、それを維持している状態です。

そのため、多くの企業では一年前と同じことを同じやり方でやり、一年後も今と同じことを同じやり方でやっているでしょう。

これは決して怠慢でも、思考停止でもなく、「短期的」という条件下においては極めて合理的な判断です。

何も変えないことが合理的である理由

「この事業をこのまま続けられるか」「従業員も高齢化が進んできた」「うちも生成AIの導入をしないと」といったことを考えていても、多くの企業は事業のあり方も、事業のやり方も変える動機が弱いのはなぜでしょうか。

それは、現状を維持することに思考が最適化されているからです。3年後、5年後、10年後ではなく、1年後、1ケ月後、今日といった極めて短い時間軸においては、何も変えないことが最も合理的だといえるからです。

同じやり方で同じ結果を得られる条件

当然のことですが、同じことをやり続けて同じ結果が得られるには、前提条件が変わらない場合に限られます。

数式で表すと以下の通りです。

y=axy=ax

yは結果、xが行動、aは前提条件(経営環境・事業構造など)です。

もしaが変わらないという条件であれば、xの数値が同じである限り、同じyを得られ続けます。

しかし、aが変わってしまった場合、それに応じてxを変えなければ、意図しない形でyが変わってしまいます。

現実においては条件が常に変わっている

現在、我が国においては、

  • 人口は減少しています。
  • 少子高齢化しています。
  • 最低賃金は上がり続けています。

これらの変化は、多くの企業にとっては収益減少につながるため、望ましくない変化でしょう。

人口減少は市場の縮小につながり、少子高齢化は労働力の確保の難化につながります。何も変わらなければ売上高は下がり続けるばかりか、同じ体制で事業をすることも難しくなります。

xが今までと同じであれば、yはどんどん下がっていく条件(a)です。であるにも拘わらず、去年と同じ事業、去年と同じ商品、去年と同じ価格、去年と同じやり方を維持し続ている限り、条件が悪くなる分、結果が悪くなることになります。

条件は悪くなるだけではありません。良くなることもありえますが、いずれにしても変化を捉えるために対応を変えなければ、変化の恩恵を受けることはできません。

現状は変わることを前提とした意思決定が必要

現状を維持しようという意思決定が、短期的な時間軸という限定された条件下においては合理的であり、それを選択しているということは、多くの経営者層の論理的な思考力が不足しているとはいえないでしょう。

問題があるとすれば、条件(a)を変わらないものだとし、操作可能なxだけで意思決定していることではないでしょうか。

条件が変わらないものであると設定している以上、昨年と同じことを今年もやるという判断は合理的なものであり続けます。

最後に

経営環境は常に変化しています。過去も変化してきましたし、これからも変化し続けます。それが自社にとって都合が良い変化なのか、都合の悪い変化なのかは、それぞれの企業によって異なります。

これからは、短期的な合理的判断に加えて、中長期的に見たときの合理的判断もしていく必要があります。

まずは、条件aは今までどう変わってきて、今後はどうなることが予想されるでしょうか。そこから整理をしてみてはいかがでしょうか。

xも最適化され、望ましいyが得られる確度が向上するはずです。

以上、参考になれば幸いです。

経営に関するご相談、お問い合わせなど、お気軽にご連絡ください。

CONTACT