
多くの中小企業では、経営者自らが、現場作業をせざるを得ない状況にあります。これは現場が人手不足であれば、やむを得ない事だと言えます。
たとえば、製造業であれば、社長自ら進捗の管理をしたり、機械を回したりということも日常茶飯事かもしれません。
ただ、あくまでも経営者の仕事は「経営」であって、現場のリーダーや作業担当者ではありません。
会社の中で経営をするのは経営者だけであり、現場仕事をどれだけ一生懸命しても、それは「経営」をしていることにはなりません。
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経営とは何か
色々な表現の仕方はあるでしょうが、経営とは「外部環境の変化に対して、経営資源をやりくりして適応していくこと。」だと言えるでしょう。
そして、会社の中でこの役割を担うのは誰かというと、経営者以外にいません。
外部環境は常に変わり、顧客もニーズも、競合も技術も変わります。その変化に合わせて、事業の方向性、資源配分、仕組み、数字にもとづく意思決定を行う――これが経営者としての本来の役割です。
中小企業に必要な経営の視座
繰り返しになりますが、人手不足であれば経営者自身が現場に入って、作業をするのは仕方がありません。
日通の社長がトラックを運転して物を運ぶことは無いでしょうが、運転手が10人ぐらいの運送業者なら、社長もトラックに乗って物を運ぶ必要もあるでしょう。それ自体は仕方がありません。
ただ、現場で作業をする、現場を適切に運営するということと、会社の経営とはまったく別のことです。
日々の業務をこなすにあたって、経営者が現場に入ることが必要でも、今後の会社の在り方は、やはり経営者という立場の人間が考えなくてはいけないことです。
そして、現場の仕事と経営とを明確に分け、常に経営の視座で物事を見て、経営の視座で考える必要があります。
中小企業が成長しない本質的な理由
中小企業が成長しない理由の一つに、戦略が「存在しない」あるいは「業務計画と混同されている」といったことが考えられます。
別に成長したいと思わない、今のステージで良いと考える経営者の方々もいらっしゃるかと思われますが、商売とは相手がいての話ですし、競合もいます。そのため、自分だけが変わらないという訳にはいきません。
また、材料コストやエネルギーコスト、人件費は上がり続けています。コスト高騰に対応するには、それを賄うだけの売上の向上が必要です。
中小企業の経営者が果たすべき本来の役割とは
作業だけを一生懸命やれば良い、ノルマをこなせばよいといった、分掌した業務に責任を負うのは従業員の立場だけです。
経営者は経営をするのが仕事です。現場作業の管理や、現場作業をしなくてはいけなかったとしても、経営をしなくて良いことにはなりません。
また、業務は外注したり、縮小したりできても、経営そのものを外注、削減はできません。
経営者のその時その時の判断が、1年後、5年後、10年後の会社の行く末を決めますし、日々の業務をより効率的に収益に結びつけるために、どこに向かって、どのように進んでいくのかを明確に定める必要があります。
最後に
今後3年、5年、10年先を見据えたときに会社を取り巻く環境はどうなっているか、それに対して自社はどのように対応していくか──誰に何をどのように提供していくか、そのためにヒト、モノ、カネ、情報をどうしていくか、といったビジョンが明確ではないと、どうしても目の前の作業に囚われてしまいます。
船での航海で、目的地を定めず、ただ舵を切っているのと同じであり、それは漂流しているのと変わりありません。
どれだけ現場作業に時間を取られていたとしても、従業員が幸せになる方法を考えられるのは経営者だけです。したがって、経営者として「経営」をしていく必要があるということは、常に念頭に置いておく必要があるのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。



