
IT技術の発展に伴い、企業の経営や業務においてIT導入は欠かせません。
さらに、付加価値や競争力の向上を目的としたDXを国(経済産業省)は推進しています。
その一環としてDX認定制度があります。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)によると、DX認定制度は以下のように説明されています。
DX認定制度は、デジタル技術による社会変革に対して経営者に求められる事項を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」に対応し、DX推進の準備が整っていると認められた企業を国が認定する制度です。
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DX認定制度取得のメリット
IPAのWebサイトでは、DX認定制度取得のメリットとして以下の3つが挙げられています。
- DXに積極的に取り組んでいることをステークホルダーにアピールできる
- 金融・人材育成の施策において、優遇や助成等の要件として活用できる
- DX銘柄及びDXセレクションへの応募が可能となる
それぞれを見ていきましょう。
DXに積極的に取り組んでいることをステークホルダーにアピールできる
DX認定の取得支援サービスを提供している企業は、取得の効果として企業価値やブランドイメージが上がるとうたっていますが、「DX認定を受けた」と聞いてどのような印象を持つでしょうか。
「すごい」「イメージが良い」「是非とも取引したい」といった印象を受けるでしょうか、それとも「それが何か?」でしょうか。
おそらくさすがにそこまでの感想を持ってはもらえない思われます。
そして、DX認定を取得した程度で、企業ブランドが向上して、採用活動にプラスの効果を得たり、従業員のモチベーションに繋がったりといったことは現実には難しいでしょう。
金融・人材育成の施策において、優遇や助成等の要件として活用できる
これはメリットと言えるでしょう。 しかし、手間とメリットが釣り合うかどうかは別の話です。
例えば、日本政策金融公庫のIT活用促進資金においては、DX認定制度を受けている企業は金利が安くなります。
しかし、元々日本政策金融公庫が設定した金利よりも安い利率で融資を受けられる企業においては、特にメリットにはなりません。
そのため、すべての企業においてメリットがあるとは言いづらいのが実態です。
DX銘柄及びDXセレクションへの応募が可能となる
これも企業のイメージ向上に寄与すると言われているものです。
意地が悪い言い方ですが、DX銘柄やDXセレクションに選ばれた企業を何社ご存じでしょうか。
もし、ご存じなければ、選ばれることによる効果は限定的だと言えそうです。
それでもDX認定には意味がある
DX認定は直接的なメリットを求めて申請するものではありません。
もし、直接的なメリットがあったなら、補助金のように申請代行業者がペンをなめて作文した申請書ばかりになってしまいます。
そうなると、認定されること自体が目的化し、企業にとって本来のDX推進の機会を阻害してしまうことになります。
こういったことは、経済産業省も望んでいないでしょうし、何よりも企業にとって意味がないばかりか、マイナスになってしまいます。
DX認定は、取得するためのプロセスを通じて、社内の環境を見直し、ITを通じた付加価値提供や業務改善に対する意識を高める場にできる可能性があります。
つまり、必須であり、急務であるDXを推進しようと思っても、自分たちで目標設定や行動計画を立てるのが難しい企業にとって、目安になるのがDX認定ということです。
これこそが、DX認定の意味ではないでしょうか。
最後に
アナログな作業をIT化することがDXではなく、ITを活用して競争優位性を高めることがDXです。
DXは、IT部門や一部のメンバーによるプロジェクトの話ではありません。 経営者様ご自身がリーダーとなって、現場とともに進めていくべき、全社的な取り組みです。
決して簡単な道のりではありませんが、だからこその道しるべが必要です。
自社を変えるための道しるべとして、DX認定の制度を活用されてはいかがでしょうか。
以上、ご参考になれば幸いです。