付加価値を切り口に経営を考える

買い手は商品やサービスそのものが欲しいわけではありません。
あくまでも、商品・サービスを通じて提供される付加価値に対して対価を支払います。 商品・サービスというのは、付加価値を具現化したものでしかありません。

この「付加価値」という視点を切り口に経営を体系的に捉えると、意思決定や課題発見の軸がぶれにくくなります。 特に中小企業においては、この視点の重要性が際立つと考えられます。

付加価値を切り口に考えた際の経営とは

付加価値を切り口に考えた際の経営を簡潔に表現すると、「環境変化を把握・解釈しながら、適切な相手に対して、適切な付加価値を、効率的に創造・提供することであり、そのために経営資源を効率的に活用するマネジメントである」となります。

以下、7つの観点に分けて整理します。

1.環境変化を把握・解釈

経済動向、技術動向、市場規模、顧客ニーズ、競合の動向など、自社を取り巻く外部環境は常に変化しています。

一企業ではこれら外部環境に対して直接影響を与えることは難しく、基本的には変化に適応するしかありません。

そのため、外部環境の変化を捉え、商機と捉えるか見逃すかといったことが経営判断の出発点になります。

2.ターゲットの選定・明確化

ターゲットが明確でなければ、提供すべき付加価値も明確にはなりません。
また、ターゲットがいる市場の特性も見極める必要があります。

市場の大きさが売上を決めますが、参入市場が大きければ、必然的に競合も多くなります。
成長市場なのか、成熟市場なのか、衰退市場なのか。
成長の変化は激しいか、それとも緩やかなのか。

3.どのような付加価値を提供するか

対価を支払ってまで欲しいと思える付加価値でなくてはいけません。
また、その付加価値は競合ではなく、自社が選ばれるものでなくてはいけません。
当然ながら、事業として成立するには一定以上の収益性が必要です。

一般的には、可能な限り陳腐化しにくい付加価値の方が望ましいと考えられます。
しかし、一時的でも良いという判断もあるかもしれません。

4.効率的に創出する

商品であれサービスであれ、付加価値を効率的に創り出す必要があります。

同じ時間、同じマンパワー、同じ設備、同じコストでより多くの成果を出すことができれば、売上にプラスの影響があります。
さらに、より効率的であるほど、同じ付加価値をより低コストで創出できます。

5.効果的に伝える

良いものを作れば買ってもらえる……というのは、あくまでも理想論です。

どれだけ優れた付加価値を創出したとしても、付加価値が買い手に伝わらなければ購買意欲は生まれません。
また、付加価値が適切に伝わらなければ、価格の妥当性も感じてもらえません。

6.効率的に提供する

付加価値は買い手に届いてはじめて意味を持ちます。

どんなに優れた付加価値であったとしても、買い手に届かなければ意味がありませんので、販売チャネルの選択や設計は非常に重要です。

来店型のサービス業のように販売チャネルが限定される場合は、店舗の立地、導線、プロモーションなどが鍵になります。

7.経営資源を効率的に活用する

規模によって違いはあれど、すべての企業は経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)に制限があります。

限られた資源を、無駄なく、無理なく、ムラなく、活用して、最大限の成果を引き出すことが求められます。

中小企業が付加価値を切り口に考えるべき理由

経営理論には様々な考え方があります。

たとえば、J・バーニーに代表されるリソースベースドビュー(Resource-Based View)は、経営資源希少性や優位性を競争優位の源泉と捉えます。

また、M・ポーターに代表されるポジショニングビューは、業界構造と自社の立ち位置に着目します。

決してこれらの理論が間違っているといったことはありませんが、多くの経営理論は抽象的で、特に中小企業にとっては実効性に欠けます。

一方で付加価値を中心に据える考え方は、より具体的であるため実現面においても、組織内の共有性、実効性においても高いと考えられます。

たとえば、

  • 付加価値の向上につながるのか
  • 適切な付加価値の伝達につながるのか
  • 付加価値提供の効果が上がるのか
  • 経営資源の活用が効率化されるのか

といった観点で判断がしやすくなります。

そのため、経営資源に乏しく、規模が小さい中小企業にとって適した考え方と言えるのではないでしょうか。

最後に

企業におけるすべての問題を解決することはできません。
また、仮に問題を解決したからといって、それが理想の経営状態とも限りません。

それでも、どうしても目先の問題に囚われがちになるのは、「そもそも経営とは何をすることなのか」という認識があいまいになっているからではないでしょうか。

もし、「経営資源を効率的に活用して付加価値を生み出し、買い手に提供する」という視点が社内に浸透していれば、経営のトップ層から現場の従業員の方々に至るまで、何をすべきか、せざるべきかの優先順位がぶれにくくなるはずです。

以上、参考になれば幸いです。

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