
2025年8月7日、ChatGPTの最新モデルであるGPT-5が公開されました。 ログインした時の画面が変わっていて気が付いた方も多いのではないでしょうか。
アップデートはブラウザごとにされるようになっていて、8月中にほぼ全ユーザーが利用可能になる見込みのようです。
これまでのバージョンと比較して何が変わったのか、そんな疑問を持つ中小企業の経営者様や事務担当の方に向けて、わかりやすく解説します。
Table of Contents
GPT-5とは
これまでのChatGPTには、いくつかのモデル(頭脳)がありました。 よく使われていたのはGPT-4oとo3の2つのモデルです。
GPT-4o
- 無料でも使える標準モデル
- 会話が得意で、反応が速い
- 日常利用の多くがこのモデル
GPT-o3
- 有料向けの高性能推論モデル
- 難しい計算や論理的な問題が得意
- 反応はややゆっくり
今回登場したGPT-5は、この両方を置き換える新世代のモデルです。
大雑把に言えば、普段の会話モデルよりも賢く自然で、難しい推論モデル並み、またはそれ以上の実力を備えているモデルとなります。
リリース日 | 2025年8月7日 |
---|---|
利用対象 | 無料・有料すべてのChatGPTユーザー |
無料プラン | 回数や時間帯に制限あり(制限超過時は軽量版に切り替わる) |
有料プラン(Plus/Team/Enterprise) | 制限緩和 GPT-5 Thinkingモードが利用可能(複雑な推論が得意) Thinkingモードは週200メッセージ上限 |
Proプラン(月額200ドル) | 最上位のGPT-5 Proが利用可能 |
ここが進化した
外部のベンチマークによると、GPT-5は旧モデルより明確に性能が向上していることを示しています。
項目 | GPT-5(Thinking) | GPT-4o | 向上幅 |
---|---|---|---|
SWE-bench(コード修正) | 74.9% | 約52% | +22.9pt |
GPQA Diamond(科学Q&A) | 87.3% | 70.1% | +17.2pt |
実世界誤答率 | 4.8% | 15.8% | 半分以下 |
複数条件の理解精度
GPT-4では「納期は金曜」「予算は10万円以内」「相手は新規顧客」など、条件が多くなると、条件の抜け漏れが発生することがありました。
GPT-5は複数条件を正確に理解し、条件を漏らさずに出力結果に反映します。
文章トーンの自然な切り替え
GPT-4は丁寧さの調整はできても、場面や相手に合わせた自然なトーンにすることまでは苦手でした。
GPT-5は、
- 顧客向けには礼儀正しく
- 社内メモには簡潔に
- クレーム対応には落ち着いた表現で
といった切り替えが自然にできるようになりました。
要点整理の精度向上
GPT-4では重要事項が埋もれることもありましたが、GPT-5は要点・決定事項・課題を分類して整理します。
ミスや抜け漏れの検出力
GPT-4は誤字脱字チェックは得意でも、内容の矛盾や抜けは見逃すことがありました。
それに対して、GPT-5は「金額は書かれているが支払い条件がない」といった指摘もできるようになりました。
使い方の違い
結論として、使い方はこれまでと変わりません。
性能が底上げされたことで、同じ入力に対しても、より完成度の高い回答が得られるようになりました。
- 入力方法や会話の流れは従来通り
- 文章作成・要約・翻訳・表作成なども同じ手順
- 条件理解や推論力の向上により、一度で的確な結果が得られる可能性が高まった
- 長いやり取りでも条件を忘れにくくなった
最後に
GPT-5は、標準モデルの自然さと高性能モデルの推論力を兼ね備えた新世代モデルです。
中小企業の事務作業では、
- 複雑な条件の依頼メール作成
- 会議の議事録や報告書作成
- 契約書や申請書のチェック
などがより速く正確に行えるようになります。
ただし、どれだけ性能が上がってもChatGPTは適切な入力があって、初めて動く道具です。
入力する側が、企業の全ての課題を客観的に把握できるわけではなく、全てを正確に言語化できるわけでもありません。
そのため、事務作業や文章作成の代行はできても、人間の頭脳や経験に基づく判断、経営コンサルタントのような包括的な戦略立案の代わりにはなりません。
あくまで作業の代行や人の判断を補強するパートナーとして活用することが重要です。
以上、参考になれば幸いです。