自社で行う必要がありますか

中小企業であれば、決算の処理を税理士に依頼している企業がほとんどでしょう。
社用車をぶつけたら、修理工場に持って行くはずです。
これらは、合理的な判断だと考えられます。
自分でやるよりも、早くて正確だからです。

では、社内のIT化・DXはいかがでしょうか。
Webサイトの制作、業務改善、SNSの運用はいかがでしょうか。
これらのいずれも、スキルやノウハウが必要です。
であるにも関わらず、自社で行うという選択をする企業は、決算や車の修理を自社で行う企業よりもはるかに多いでしょう。

なぜ多くの企業は、スキルやノウハウが必要なことを、他者に依頼せずに自社でやろうとするのでしょうか。

他者に依頼するものと自社でやろうとするものの違い

どういったことを他者に依頼し、どういったことは自社でしようとするのでしょうか。
そこには、一つの共通点があるように思います。

それは、「成果がすぐに見えない」ということです。

決算や自動車の修理は、成果が明確です。
それに対して、Webサイトからの成果やSNSの成果はすぐに見えづらく、また成果との因果関係も明確ではありません。

成果がすぐに見えないということは、費用対効果が見えづらいから、他社に依頼せずに自分たちでやろうという判断です。

合理的な判断を狂わせる要因

なぜ、他社に依頼した方が合理的なのに、自社でやろうとするのでしょうか。
以下の2つの大きな理由が考えられます。

損失回避バイアス

人間は、何かを得るときの喜びよりも、失う痛みの方が2倍以上強く感じると言われています。
そのため、外注したことで得られる価値よりも、対価を支払う痛みを評価してしまっているということです。

「他者に依頼するための金額」と「自社でやるために使用することになる時間、スキルやノウハウが不十分なまま行った場合の成果」とのバランスを検討する必要があります。

金銭以外をコストと捉えていない

役員がやれば、あるいは従業員が勤務時間内にやれば、追加の出費がありません。
「金銭を消費しない=コストがかからない」と考えているかもしれませんが、実際には時間というコストを浪費しています。

できるようになる必要があるか

金銭だけでなく、人的資源も物的資源も時間も有限です。
そして、それらが乏しいのが中小企業です。

本来力を入れるべきではない業務を行うということは、本来力を入れるべき業務に投入できるリソースが減るということです。

成果があいまいであれば、自社の人的リソースを投入する価値があるかどうか、慎重になるべきではないでしょうか。

自社でできるようになることで、時間当たりの売上高や利益が増加するのであれば、自社でやってスキルやノウハウを高めれば良いと思います。

しかし、そうでないなら他者に依頼した方が合理的です。

最後に

他者に依頼する費用を抑えたいというのは一見正しそうに思うかもしれません。

しかし、実際は逆です。

自社の収益に直接つながる業務に対して、可能な限りリソースを集中させる方が企業の利益もキャッシュフローも増加します。

鼻をかみたいときにティッシュが1枚しかなかったら、無駄なく効率的に使おうと思うはずです。

中小企業の経営も全く同じことで、中小企業のリソースは乏しい訳ですから、可能な限りリソースを効率的に使う必要があります。

以上、ご参考になれば幸いです。

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