経験の危うさ

昨今、フィットネス人口の増加に伴い、パーソナルトレーニングの需要も増えているようです。
その結果、事故やけがが増えており、消費者庁の消費者安全調査委員会が調査を始めました。

参考:パーソナルトレーニングで健康被害多発 消費者庁、調査開始(毎日新聞)

事故増加の原因

単純にフィットネス人口が増えれば怪我をする人が増えるのは言うまでもありませんが、トレーナーが原因になっている点も考えられます。

トレーナーが原因だとすると、需要の増加に対して急増でトレーナーを育成し、その結果トレーニングに対する知識がないトレーナーが増えたことが原因だという思われた方も多いかもしれません。

しかし、大会で成績を上げたような、長年トレーニングしている人の指導も増えているようです。

そういった方は、実際に大会で上位の成績という実績があり、自身がトレーニングした経験に基づいて指導することができます。
しかし、そのノウハウが他者にも適応できるのかどうかは別の話です。

経験は常に正しいか

「自分はこの方法で上手くいった」と「誰でもこの方法で上手くいく」とはイコールではありません。
目標が同じであったとしても、条件が変われば目標達成のための適切な方法は変わります。

経営でいうならば、過去に成功した手法で常に成果を出せるのであれば、全ての企業は右肩上がりのはずです。
しかし、そうはならないのは、条件が変わると適切な手法が変わるからに他なりません。

経験に基づくこと自体が悪い訳ではないでしょうが、経験が絶対ではないことは疑いないでしょう。

経験の他に何が必要か

パーソナルトレーナーの例でいえば、受ける側はそれぞれ筋量、骨の長さ、体の柔らかさ、トレーニングの習熟度といった条件がそれぞれ異なります。
トレーナーは相手に合わせて適宜、メニューの内容や負荷、指導内容を変えていく必要があります。

そのためには自分の経験そのものに基づいた考え方ではなく、幅広い条件でも適用できるように経験を一般化することが求められますし、筋トレだけでなく運動生理学や機能解剖学といった周辺知識も必要でしょう。

経営に関しても同じことが言えます。

成功体験が少ないと一般化は難しいと考えられますが、単純に「○○を××したら△△になった」ではなく、なぜ上手くいったのか、どういった条件を満たしていたのかといった分析は必要です。

最後に

答えを出す材料として経験というのは非常に重要です。
ですが、経験そのものがそのまま生きるかどうかは条件次第です。

経営において、なんらかの行動を取る場合は、条件を捉えたうえで、経験がそのまま生きるのか、生きないのかを含めた適切な経営判断を行っていただければと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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