相談員や専門家の選び方

規模の小さな企業は経営資源が少ないため、より効率的に経営資源を活用することが求められます。
そのためにも、公的機関の経営相談・登録専門家やフリーランスの専門家やコンサルタントの活用が有効的です。

しかし、相談員や専門家もピンキリのため、どういった方に相談すれば良いのかわからないというのも事実でしょう。

実際に一度相談をしてみて、こういった方はふさわしくないかもしれない、こういった方が良いのではないかという例をご紹介します。

相談相手として適切ではない方

あまり適切ではないと思われる方の特徴をご紹介します。

指摘するだけ

そもそもの知識や経験が足らない人は指摘するだけに留まります。

決算書を見て棚卸資産が増えているのを見て「在庫が増えています。減らしましょう。」なんてことは毎月棚卸をしているので分かっている訳です。
重要なのは、それがどういった悪い影響を及ぼすか、どうすれば良いのかといったことのはずです。

言い換えると、今目に入った情報に基づいて思ったことを言っているだけとも言えますので、何かを相談するには適していません。

二言目には補助金

補助金は、うまく活用すればキャッシュフローの面でプラスの効果がありますが、補助金自体は経営課題を達成する手段ではありません。

例えば、「ミスや手戻りが生じていて、歩留まりが悪化している」という状況になっていたとしたら、ミスや手戻りが生じている原因を明確にして、対策を検討したうえでPDCAサイクルを……といった風になろうかと思われます。

その対策として設備の導入というのであれば、タイミングが合えば補助金も活用すればよいですが、原因も対策もなしに補助金を活用して設備を入れるというのは不適切というのはご理解いただけるかと思われます。

二言目には補助金という方は、純粋知識、スキル、能力が極めて不足しています。

教えてやろう・答えてやろう

年配の方、大企業出身の方に多いのですが、もちろんご相談者される方に対いてマウントが取りたい訳ではなく、役に立ちたいとは思ってはいます。

しかし、自分の方が立場は上であるという考えも少なからず持っています。
そういった方は、ヒアリングもそこそこにずっと自分が喋っていることもありえます。

また、相談される方のための回答ではなく、(実際に役に立ったかどうかは別として)役に立ったという自己満足を求めている人もいます。

その結果、ファクトに基づいた実行できる回答よりも、本で読んだような実行性の低い「正しい」回答をしようとすることもありえます。

評論家・批評家タイプ

困ったことがあって相談をしている訳ですから、聞きたいのはどうやったら現状を望ましい状態にできるのかということのはずです。
ことさら現状についてあれやこれやと批評する必要はありません。

相手との間に序列を作りたがる傾向にある人は自信のなさの裏返しかもしれません。
したがって、そういった方は相談する相手としてもふさわしくないと考えられます。

安心して相談できる方

こういった特徴の方は安心してご相談していただけるのではないかというパターンをご紹介します。

聞いてくれる

大変失礼な物言いで恐縮ですが、人は自分が考えていることを全て適切に言語化できません(「言語化でいる範囲」参照)。
ですから、口にした説明だけでは表面的な対応になってしまい、適切な助言をすることなど到底不可能です。

そのため、相談者側の発言内容にしっかりと耳を傾け、発せられた言葉とその行間、伝えきれないことなどを言葉だけでなく、ノンバーバルなコミュニケーションからもしっかり引き出そう、聞き取ろうということが必要です。

しっかりと聞いてくれるというのは、信用できる相手の最低条件です。

話を整理してくれる

相談する方も、理論立てて話すのは難しいはずです。
時系列に沿って、あるいは思いつくままに話す内容を、質問を通じて整理しながら聞いてくれるというのはヒアリングのスキルが高いことの証拠です。

相談が終わった後、頭の中が整理されてすっきりしていたり、自分で回答を出せていたり、前向きになっていたりしていれば、価値のある相談時間だったと言えるでしょう。

逆に、とにかく質問に答えてやろうという人の場合は、自分が回答できる材料を引き出そうとするため、相談者のための質問ではなく、自分のための質問になってしまっています。
その結果、相談後の腹落ち具合が異なるはずです。

できることを言う

相談員や専門家は、基本的に自分が手を動かすだけでなく、相談される企業の方が自らの力で課題を達成できるような提案や助言が求められています。

そのため、「そこまでできたら嬉しいけど、今の会社の状態では実行できない」といった、100点満点の「正しい」内容ではなく、実際に明日から取り組もうと思える内容の提案・助言をする必要があります。

相談する方の状況に鑑みて的確な提案・助言できるということは、それができるレベルの相談員や専門家ということになります。

最後に

相談員や専門家、コンサルタントといった方には様々なバックグラウンドの方がいて、それぞれ能力も姿勢も異なります。

特に大企業で研究や開発といった社内外問わず、特定の人以外の人と接する機会が少ない部署だった人は、コミュニケーションに難があるタイプの方もいらっしゃいます。

そういった方も、公的機関の専門家登録のプロフィール欄を見ると非常にきらびやかな経歴だったりするのですが、相談する相手として妥当ではないということもありえます。

今回ご紹介した内容で全てを説明できてはいませんが、参考になれば幸いです。

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