生成AI時代の本質

生成AIによる業務改善は今後数年のトレンドとなるでしょう。
実際に、「○○の作業はこの××で自動化」「△△を使えば資料が一瞬でできる」といった情報が日々提供されています。

中小企業もAIによる業務改善自体は必要なことですが、それだけで良いと思っていると、今後は立ち行かなくなる可能性があります。

「AIで業務を効率化すること」と「AI時代に生き残ること」は、まったくの別問題だからです。

生成AI導入の必要性

インターネットを使用しないで仕事をすることが考えられるでしょうか。
PCを使用しないで仕事をすることが考えられるでしょうか。
携帯電話を使用しないで仕事をするということが考えられるでしょうか。
今更こういったものを使用しないで仕事をするということは考えられないことです。

生成AIも数年内には同じようなものになります。

単に生成AIを導入して業務改善を行うと、競合に対して有利になるといったことではありません。
どの企業も生成AIを使用しているので、使わないと不利になるという時代が目の前まで迫っています。

たとえば、製造業の場合だと、生成AIで改善する業務は主に間接業務だと考えられます。
技術面では強豪に劣っていないにも関わらず、間接業務が生成AIで効率化できていないことで、コスト面や納期面で不利になることが考えられます。

AIを導入した企業は競争力が上がるのか

AI導入による業務改善は、あくまでもオペレーションレベルの改善にすぎません。
ビジネスモデル自体は何も変わっていなければ、提供する製品や役務の付加価値が向上する訳ではないということは留意する必要があります。

つまり、誰もが生成AIでオペレーションの効率化をすると、結局今と同じ競争状態になってしまいます。

間接業務は売上に関わらない業務であるため、可能な限り効率化すべきだというのは事実です。
しかし、経営者という立場で考えるべきことはオペレーションよりも経営レベルの話のはずです。

生成AIの本質は環境の変化

生成AIの普及で起こるのは、単なる業務効率化ではありません。

経営者という立場であれば、「市場そのもののルールが変わる」ことを意識しなくてはいけないことです。

たとえば、生成AIで作業があっという間にできるということであれば、(PCを使った)作業の価値が著しく小さくなります。
そうなった際に、どのような価値を新たに生み出し、提供するかを検討する必要があります。

他には、今までは手間がかかっていて対象外となっていた市場が、生成AIによる業務の改善で利益を生むようになるかもしれません。
そうなると、いかにロングテール市場を獲得するかといった戦略の変更も必要になるかもしれません。

目をそらしても意味はない

ITは苦手だからといって生成AIを敬遠していると、市場から淘汰されかねません。

再び製造業でたとえると、生成AIを避ける企業は、技術力では競合に劣っていなくても、コスト面や納期面で不利になるというのは前述の通りですが、そのような企業の収益はどんどん低下します。

挙句に、生成AIで効率化を果たした企業にどんどん買収されるといったことが、日本各地で起こるでしょう。

買収する側は、生成AIで間接業務を効率化していますし、規模が大きくなるほどスケールメリットを生かすことができます。
買収される側の従業員、技術やノウハウ、顧客を手に入れて、ますます収益が拡大するでしょう。

繰り返しますが、生成AI普及による変化とは、市場の前提が変わることです。
そのため、企業は 「AI時代に何を提供するか?」 を再定義する必要があります。

「AIで業務を効率化」だけではなく、「AI時代に合った新しい価値を作る」「どうやって差別化するか」「AIを活用してビジネスモデルを変革」といったことが求められます。

最後に

AI時代に生き残る企業は、単に AIを導入した企業でもなければ、AIについて知識がある企業でも、AIを巧みに使う企業でもありません。
AIによって変わる市場で、新しい価値を生み出せる企業がAI時代に生き残り、成長する企業です。

AI時代に求められるのは、単なるオペレーションの効率化ではなく、環境変化に応じた適応・変革・進化です。
まずは、どんな変化が起こるのか、強みを伸ばすべき領域を検討するべきか、この2つを考えてみてはいかがでしょうか。

来るAI時代をワクワクできる時代にできるように、今から考え、実践しましょう。

以上、参考になれば幸いです。

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