プロンプトエンジニアリング

昨今のAIの発展は目覚ましいものがあります。
中でも生成AIの活用によって、業務の効率化において大きな成果が期待できます。

より創造的な業務により多くの時間を割けるようになることで、提供する付加価値の向上も期待できます。

生成AIとは

テキストからテキストや画像、音楽などを生成するAIで、ChatGPTやGemini、ImageFXなど、様々なものがあり、また新たなものが次々リリースされています。

会員向けサービスを提供したいと考えている企業が、規約を一から調べながら作るよりも、生成AIに骨子を作成させて、それを実態に合わせていく方が完成までの工数は少ないでしょう。

資料の作成であれば、内容にマッチした画像を探している間に、生成AIなら画像を作ってしまいます。

このように、上手く活用することはマストであると考えるべきだと断言できます。

言い換えると、業務をするのに必須であるPCやインターネットに生成AIも加わるというイメージを持っていただいたら宜しいかと思われます。

プロンプトエンジニアリング

生成AIによるアウトプットの品質に影響を与える要素の一つにプロンプト(指示や質問)があります。

プロンプトに関しては様々な本も出版されていたり、SNS上でも様々な情報がやり取りされていたりしていますが、本は出版してから日数が経つほど内容の価値が失われますし、SNSでは体系的には理解しづらいし、追いかけ続けるのも大変です。

ChatGPTを提供しているOpenAIのように、プロンプトについてのガイドを公表しているサービス提供者もいます。

(参考)OpenAI─Prompt engineering

これを参考にして、どのようなプロンプトが望ましいのか考えていきましょう。

より良い結果を得るための6つの戦略

OpenAIは、より良い結果を得るための6つの戦略として、以下の6つを挙げています(英語の原文を日本語に翻訳しています)。

  • 明確な指示を書く
  • 参照テキストを提供する
  • 複雑なタスクをより単純なサブタスクに分割する
  • モデルに「考える」時間を与える
  • 外部ツールを使用する
  • 計画的に変更をテストする

明確な指示を書く

ChatGPTは気を利かせて察してくれることはありませんので、指示は明確かつ具体的なものが求められます。

例えば、以下の2パターンの質問は、それぞれ回答の内容がまるで異なります。

「クレームに対する謝罪のメール文章を考えてください」

「クレームに対する謝罪のメール文章を考えてください
・全体で300文字程度
・相手は取引歴が長い事業者
・納品の数量を2回連続で間違った」

前者はどうしても通り一辺倒な回答にならざるを得ませんが、後者は条件が加わったことで、前者よりも具体的な回答を得られます。

もし、お時間があれば実際に入力してみて回答を比べてみてください。

参照テキストを提供する

プロンプトを入力する際に、参照となる例文やフォーマットといった手本を与えることで、アウトプットは意図に沿ったものに近づきます。

アウトプットする文章のテイストを揃えたい場合や、特定のフォーマットに合わせた出力がしたいといった場合に有効です。

複雑なタスクをより単純なサブタスクに分割する

生成AIに対して、一度に複雑な指示を与えると、アウトプットの精度が下がったり、意図しない方向性の回答になったりすることがあります。

そのため、複雑なタスクを小さなサブタスクに分解し、順番に実行させることでアウトプットの精度が向上します。

例えば、「商品の改善案を出して」と指示するよりも、

  1. 現在の売上動向の分析
  2. 市場調査の結果の分析
  3. アンケート結果の分析
  4. 具体的な改善案

といったように、タスクごとに分類し、順番に考えさせることでアウトプットの精度が向上します。

また、プロンプトの入力に際して、各々のアウトプットを踏まえたものになるため、プロンプトの精度も向上すると考えられます。

モデルに「考える」時間を与える

一気に回答を求めるのではなく、段階的に考えさせることで、アウトプットの品質が期待できます。

例えば来客状況のデータを与えて、「データから最適なプロモーション案を3つ挙げてください」と指示するのではなく、「最初に1年間の来客数と最高気温の関係を分析し、その後に最適なプロモーション案を3つ挙げてください」と指示する方が、回答の品質は向上します。

外部ツールを使用する

実は生成AIは、正確な計算や特定のデータの取得といった苦手なことがいくつかあります。

応用的な使い方になりますが、Pythonの計算ライブラリやGoogleスプレッドシートと連携して、生成AIは計算結果を受け取る、APIから特定のデータを取得するといったことで補完ができます。

PythonやAPIなどの外部ツールを活用することで、ChatGPTがより高度な処理を実行でき、アウトプットの精度や実用性が向上します。

変更を計画的にテストする

タイトルは英語を翻訳したものですので、意味が分かりづらいですが、要はプロンプトの変更によってアウトプットがどのように変化するかを記録・比較し、最適なプロンプトを見つけることが重要だということです。

単に「どういったプロンプトが良いプロンプトなのか」を考えるのではなく、試行錯誤を重ねて、どういったプロンプトがアウトプットの品質が高いのかということを体系的に検証することが求められます。

最後に

数年もしないうちに、ChatGPTを含めた生成AIは、Officeのようにどの会社でも業務で当たり前に使用することになるでしょう。
つまり、「使うと有利」という状態から「使わないと不利」な状態になります。

その時になって慌てないように、今の内からどんどん活用して慣れておきましょう。

以上、参考になれば幸いです。

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