コミュニケーションの齟齬

「無人島に何か一つ持って行くとしたら、何を持っていきますか?」
一度はこの質問を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
ライター、サバイバルナイフ、テントといった、生活をするためのツールを回答する人が多いようです。

この問題を聞いた際に、「無人島」に以下のイメージを持って考えませんでしたか?

  • 南の島
  • 周りには何もない孤島
  • 人工物がなにも存在しない
  • 小さな島
  • 周りを日常的に船が航行することもない

……いかがでしょうか。
理由は分かりませんが、無人島となると誰もがロビンソン・クルーソーになってしまうようです。

前提条件が変われば、答えも変わる

本来であれば、無人島に関して以下のことを確認しないと、的確な回答はできないはずです。

  • どこにあるのか
  • いつ行くのか
  • 滞在期間
  • 行く目的
  • 同行者
  • どういった物があるのか

長崎県の端島(軍艦島)も無人島ですが、2時間程度の観光目的で行くとなったら、何を持っていきますか?
何か一つだけしか持っていけないのであれば、おそらく写真を撮るのにスマホ(カメラ)という回答が多いと考えられます。
天気が悪くなりそうだと、雨具と答える人もいるかもしれません。

邪魔にしかならないので、テントをもって行く人は皆無でしょうし、使い道がないからナイフを持っていく人もいないでしょう。

勝手な思い込みをなくすために

日常業務の中で、部下や外注先といった他者に対して指示を出すことや、何らかの依頼をすることも多いでしょう。
その際に必要な情報が共有できていないと、各々が勝手な思い込み、勝手な前提で結論を出すことになります。
そうなると、その結論は当を得たものではありません。

もちろん、無人島という単語から「南海の孤島、人工物はない、電気やガスはないだろう」といったように、足りない情報を補完しようとすることは重要です。
しかし、必要な情報を提供しなければ、指示を受けた側は適切に補完することもできません。

間違った補完をしてしまうと、当を得た結論が導き出されることはありません。
予め必要な情報を共有していれば、結論の妥当性は高くなるはずです。

情報の補完

例えば「免許を取ったので車を買いたい」と言われたら、どんな車を勧めますか?

……と聞かれると、燃費の良い軽自動車という回答の人が多いでしょうか?

どのような回答にせよ、どういう条件で車を使用することを考えて、回答を導き出したでしょうか。
そしてその条件は、勝手に想像したはずです。

「免許を取ったので、往復100キロの道のりを毎日通勤するための車を買いたい」と情報が加わると答えはいかがでしょうか。
先ほどとは回答は変わるはずであり、またその回答の精度も高くなるはずです。

齟齬の原因

「指示を聞いて、それで分からないことがあれば質問しろ」と、指示している側は思うでしょう。
しかし、部下の側から「説明が不足している」「いつも指示が分かりにくい」といったことを、思っていたとしても言いづらいわけですから、指示を出す側も伝え方を省みる必要があります。

一つの目安として、「なぜ?」「それで?」と相手が思ってしまったら、伝えている情報に不足があるということではないかと考えられます。

指示通りにできない、当を得た回答をしない、これらは部下や外注先の能力不足ではないかもしれません。
指示にあたって、必要な情報を共有できていない、つまり指示の仕方に問題があるのではないでしょうか。

最後に

不適切な指示の出し方による無駄な時間の積み重ねが、業務の効率を悪くしている要因の一つになります。
形のあるものを製造するプロセスにおける無駄とは異なり、業務を管理するマネジメント層にとって把握や認識がしづらい無駄です(指示を受けている部下や外注先は、非常によく分かっていますが)。

指示を出す側が省みれば減らせる無駄ですので、定期的に省みる機会を作ってみませんか。