「旅行に行きたいのですが、どうやって行ったら良いですか?」
それだけを聞かれて正確に答えられる人はいないでしょう。
- どこに行くのか
- 目的
- いつ
- 誰と
- どれだけの期間なのか
こういったことが全く分からないからです。
要は、ゴールが明確でないのに、ゴールに到達するための手段を答えようがないということです。
しかし、企業の経営においてはゴールを設定していないのに手段に目が行く、あるいは手段が目的化してしまうといったことがよくあります。
目次
まず明確にすること
まず明確にすることは、現状とゴールです。
「x-y=z」のzの値を導き出そうと思ったら、xとyの値がいくらなのかが分からなくては計算ができません。
言うならば、xがゴール、yが現状です。
そしてzはその間のギャップです。
現状とゴールが明確になり、その結果としてギャップが明確になる。
このギャップを埋める方法が問題の解決手段となります。
このように、全てに先駆けて、まず現状とゴールの設定が必要となります。
ゴールの設定
現状の把握はゴールの設定よりも容易だと考えられます。
ゴールの設定が、現状の把握より難しいのは、具体的かつ妥当性が高いゴールでなくては意味がないからです。
ゴールが具体的でない場合
ゴールが具体的ではない場合は、現状とのギャップが明確にならないために具体的、効果的な手段を導き出すことができません。
例えば、売上高が5億円の会社の経営者様が、売上高をもっと上げたいと考えたとします。
5億の売上高を、同じ期間で8億にする手段と、10億にする手段は異なります。
また、5億円の売り上げを5年で8億円にしたいのか、10年で8億円にしたいのかで、やはり手段は異なるはずです。
ゴールは具体的であることが求められます。
可能であれば、定量的であるか、達成の度合いが分かるものである必要があります。
ゴールの妥当性が低い場合
ゴールの設定の妥当性が低い場合は、そもそも達成できる手段がありません。
ずっと売上高が3億円前後で安定している企業が、5年後に売上高を100億円にすることをゴールに設定しても、達成できるような都合の良い方法はないでしょう。
当然ながらゴールに到達することはありません。
ゴールが明確でない例
国はDX化・IT化を推進しようとしていますが、DX化・IT化をすること自体がゴールになってしまっては本末転倒です。
付加価値の向上のために、付加価値向上に寄与しない工程をITによって自動化する、情報や行程の管理をITで高度化する、といったように付加価値の向上という目的があって、DX化・IT化という手段を講じる……という流れのはずです。
その他、補助金をもらうことが目的になってしまった設備投資やSDGsへの取組自体が目的になっているケースもよく耳にします。
最後に
ゴールが明確にならないと、妥当な達成手段を検討し、実行することはできません。
ましてやゴールと手段とを混同してしまうと、従業員の方々に無駄な負担を強いた結果、何の成果も出なかった、なんてことになりかねません。
参考になれば幸いです。