確証バイアスと環境分析

令和3年10月31日に衆議院選挙がありました。
与党である自民党が465議席中261議席と、単独過半数の議席数を獲得し、政権交代をうたっていた立憲民主党は選挙前に109議席だったものが96議席に、共産党は選挙前に12議席だったものが10議席に減少するという結果になったのはご存知の通りです。

野党共闘と言っていた立憲民主党と共産党が共に議席数を減らした理由は、他でさんざん言われていますのでここでは詳しくは触れません。
あえて一番大きな理由だけ挙げるとすれば、状況を客観的に分析できていなかった、ということが考えられます。

さて、様々なメディアが定期的に政党支持率を調査しています。
選挙前の10月25日発表のNHK世論調査によると、自民党が38.6%であるのに対して立憲民主党が8.0%、共産党は2.9%と、立憲民主党と共産党を足しても10.9%であり、自民党の支持率の3割もありません。

数値はメディアによって多少の違いはあるものの、立憲民主党と共産党を足しても自民党の支持率に大きく及ばないという点は変わりません。
これで、なぜ政権交代ができるという発想になったのでしょうか?
おそらく、状況を自分たちの都合が良いように解釈していたということでしょう。

まさに、事業がうまくいかない企業と同じことをやっていると感じました。
客観的に環境分析ができず、自分にとって都合が良いように解釈してしまうと、当然ながら適切な経営判断ができません。

確証バイアス

自分がすでに持っている仮説を検証する際、都合の良い情報ばかりを集め、反証する情報を無視する、あるいは集めようとしない傾向にあり、これを心理学では確証バイアスと呼ぶようです。

事業、あるいは商品・サービスを先に考えた上で、市場があるかどうかを確認するというプロダクトアウト型の商品開発だと、まさに確証バイアスで判断を誤りやすくなります。

せっかく商品・サービスを思いついたので、事業性があるという結論ありきで、自社にとって都合の良い点を過大に評価し、都合の悪い点を過小評価してしまいがちだからです。

特に、内部・外部の環境分析によく使用されるSWOT分析は、分析と名前についているものの、強み・弱み・機会・脅威は基本的に全て主観です。
あくまでも「強みと考えている」「機会と捉えている」でしかないので、使い方を誤ると危険です。

特定の市場セグメントがすでに設定されていて、新たな商品・サービスをどう考えるかといった、状況の具体性が高くなるほど主観が介在しづらくなるため、比較的正確にSWOTの分析ができるかもしれません。

しかし、企業全体の戦略といったように戦略レベルの場合、抽象度が高いために主観が介在しやすくなります。
その結果、自社にとって都合の良いことを過大評価し、都合の悪いことを過小評価するというのは前述した通りです。

SWOT分析を例に出しましたが、何もSWOT分析が悪いという訳ではなく、分析をする際にはある程度の客観性を担保し、可能な限りの主観を排除するという意思を持っておくということです。

客観的に評価をするために

大なり小なり人間の判断が介在する以上、完全に主観を排除することはできないかもしれません。
しかし、可能な限り客観的な状況分析をするように努めるべきでしょう。

例えば、以下のようなことが考えられます。

  • 定量化する
  • 反証してみる
  • 一人の目ではなく、複数の目で判断をする
  • 社外の人の意見を聞く

可能であれば、定量化することで客観性は増します。

また、反証してみるというのも効果があると考えられます。
特に、アイデアが出てから一旦時間を置いた方が、反証しやすいでしょう。

また、自分一人だけで判断をするのではなく、複数で判断することよって複数の視点から物事を捉えやすくなります。
社外の人であれば、より客観性が高まります。

最後に

経営を行う以上、環境の分析は常に行う必要があります。
言い換えると、常に確証バイアスによる判断をミスがついて回るということになります。

確証バイアスから逃れられないということに留意するとしないとでは、客観性に違いが出ると考えられます。
人間はどうしても確証バイアスから逃れられないということを前提にして、環境分析をされることをお勧めします。